羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

不死人の検屍人 ロザリア・バーネットの検屍録 骸骨城殺人事件

不死人(アンデッド)の検屍人 ロザリア・バーネットの検屍録 骸骨城連続殺人事件 (星海社FICTIONS)


この作者の作品は初めて読みました。ガガガ文庫から出てる「魔法医師の診療記録」の存在は知っていまして、読もうかなーと思ってたら丁度今作が出たので、こちらから読んで見ようと思いました。

まず、面白かったです。設定的に条件付で死者がアンデットとして、生まれ変わるというのが良い味出していて良かったです。

呪われた城に集まる花嫁たちが次々と死んで、ゾンビになったりして結構残酷。これ、どうやって物語に片付けるのかと思ったら、犯人は当てられましたが、動機が凄すぎて呆然となりました。


そして、主役二人、アンデットハンター・クライヴとアンデット検屍人・ロザリアが正反対の主張を持ちながら、協力し合いぶつかり合いながらちょっとずつ心が近づいていくのが読んでて好きになりました。完全に仲良くなるわけではないですが、これから腐れ縁になっていきそうでほっこりします。



続くなら絶対に読みたい作品です。面白い作品ですので、興味がある人は是非読んでください!

静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 下

静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 下 (宝島社文庫)


下巻。真咲と行成の恋と進路はひと段落する。真咲は母親の進めで進学校に進み、行成は大阪の会社へ。

心だけでなく、物理的にも離れてしまう。そんな不安に押しつぶされそうになる真咲が辛い。そして、自分が女性だってことも自分の口からでは言えず、他人から言われる。中盤までは重たい空気が流れてましたが、中盤から一転、真咲と行成は一緒にはいられない。今は。真咲が抱えていた、家族、友達、行成との恋が決して無駄にはならない展開で、読後感が非常に良い感じに締めくくりました。


全ては言えてない、それでも察し合う二人の未来は明るく、想像の余地があり、素晴らしい作品だと思いました。

静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 上

静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 上 (宝島社文庫)


この作品の単行本を献本で読んで、筏田かつら先生を知りました。

文庫化ということで改めて読みましたけど、何度読んでも楽しめますね。

行成と真咲のすれ違いながらも友情(愛情?)を育んでいってて、いつかはバレるというのを意識しながらも言い出せない真咲が切ない。行成も気づかないのが悪い。

行成のこと以外でも家族や学校で悩みを抱えていて、真咲にとっては行成との時間がとても大切なモノになっていたんだろう。


切なさや苦しみ、しかし暖かさがある作品でとても良い小説です。女子小学生と男子大学生の貴重な日々を是非読んで下さい。

ぼくたちのリメイク5ぼくたちに足りないもの

ぼくたちのリメイク5 ぼくたちに足りないもの (MF文庫J)


前巻の4巻があまり自分の中で消化しきれず、モヤモヤしていたので、今巻を読むまでに間が空きました。

読んだ感触だと悪くないなと。ただ、物足りない。なぜならキャラは変わっていこうとしてて良いんだが、物語が進んでないからだ。4巻であんなに盛り上げといて、これはがっくしする。ポテンシャルは感じる作品だからこそ、不満に思う。


河瀬川の橋場への理解度が高すぎて、秘書みたいになってるのは都合が良いなぁ笑

新キャラの九路田は悪の強いキャラでしたが、これからどう動いてくるのか楽しみです。



次巻は貫之を助ける話だと思うので、期待。

小説王

小説王 (小学館文庫)


ドラマが今月から放送されるということで、読みました。結果的にめちゃくちゃ面白くて、ドラマを見る前に読んで良かったなと。

作家・編集者を軸に話は回っていて、小説を生み出す大変さ、小説を売り出す難しさが深く掘り下げられていてた。電子書籍スマホ普及や様々なことで、厳冬を迎えている今だからこそ、読んでほしい物語でした。


売れない作家と三流編集者が命を燃やして、作品を作ろうとしていて、その熱に当てられて一気読み出来ます。登場人物たちも個性豊かな面々で、読み進めていったら、どの人物にも感情移入してしまいます。



小説を愛する人達に読んでもらいたいです。


漫画も読み応えがありましたので、こちらもどうぞ。

小説王 (1) (角川コミックス・エース)

小説王 (1) (角川コミックス・エース)

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ

【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ (宝島社文庫)


京アニでアニメ化していて、とても面白く。去年はリズと青い鳥を見て今月は最終章の映画を控えてるので、原作を読み始めました。

探り探り読み進めましたが、とても面白かったです。内容は知っていても、部活特有の人間関係の歪みや厳しい空気が重くのしかかってきました。

久美子がダウナーな主人公でありながら、落ち込んだり、凹んだり、昂ぶったりしていて、久美子の心境に引っ張られるようにグイグイ物語に惹かれました。


吹奏楽の青春要素と人間コミュニティの暗いところを組み合わせていて、飽きることなく、読めます。


全力の久美子や麗奈の姿を最後まで見たいと思いました。



続きも読みます!

自由なサメと人間たちの夢

自由なサメと人間たちの夢 (集英社文庫)


以前に、住野よる先生が推していたな〜と思い、買いました。


歪みを抱えながら生きている人達が欲望に忠実になっている姿を映す短編集。

様々な人達の歪みが感じられて、とても面白かった。歪んでいるだけでも、必死に生きている。一般の歪みに関係ない人達には分からない悩みを抱えていて、その悩みを物語の核心に置くことで、読み応えと読後感を作っていた。


こういう落ちていく人達がふらっと心が上を向くのが好きなんですよね。