羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ミステリー

卒業生には向かない真実

のめり込むように読んでました。 自由研究には向かない殺人から始まる三部作の締めくくりである今作はかなりダークなミステリに発展していて、最後の最後までハラハラドキドキしました。凄いものを読んだと感じました。 前作から不穏な気配はありましたが、…

アンデッドガール・マーダーファルス 4

アニメ放送中なので、合わせてきたのかなと思いましたが作者いわく元から描く予定だったということ。 各キャラの前日譚が詰まっている1冊。津軽、静句、鴉夜のそれぞれの出生が描かれていて、これを読むとよりアンファルが好きになります。軽い雰囲気で旅を…

不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で

良さそうな作品だなと発売を楽しみにしてました。楽しく読めつつ、シリアスも良い塩梅で混ぜられていて、満足です! ラノベとしても、ミステリとしても、バランスが良く読めました。 主人公・天内が冷堂と出会い、事件に遭遇していく形で進んでいきます。 2…

まるで名探偵のような: 雑居ビルの事件ノート

ラノベでミステリを描いてた玩具堂先生が東京創元社デビューとは、読者として嬉しい限り。 癖が抑えめでしたが、するする読み進めやすい文章は健在でした。 日常の謎。 語り手や名探偵が高校生なので、青さがあります。ただ、事件の真相に辿り着くと大人、成…

やさしい魔女の救いかた

再読。やさしい物語で好きです。 タイトルの意味はミスリードがあり、そっちかとなるがどっちもやさしい魔女であることには変わりない。 現代に魔女がいたらという設定で魔女裁判を魔女が行わなければならない窮屈さから抜け出す最後は爽快でした。 設定が魅…

不実在探偵の推理

大好きな井上悠宇先生が遂に単行本作品を出すとは。 買うしかない。 1話目は以前小説現代で読んでいましたが、掴みに持ってくる話としてはこれ以上ない。 特殊な探偵の在り方をしていると十分に伝わってくる出だしだと思う。 その探偵、不実在なだけに結論は…

電気じかけのクジラは歌う

序盤は夢や希望が感じられず、まさにAIに創造を奪われているのが伝わってきて暗い気持ちに。 ただ、AIが発展していくと人に出来ることは限られてしまう。いや、そうじゃないだろと訴えかけてくる。厳しい現実を見せつつ、人が創造する喜び、目的、価値の大事…

アリアドネの声

シンプルに結末が気になる作品でした。 目が見えない、耳が聞こえない、話せない、障害を抱えた女性が地下に取り残されている。しかも時間制限がある。こんなスリリングな状況をどう切り抜けるのか気になって仕方ない。状況的にドローンで誘導するしかない上…

シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する

ラノベでミステリー、学園、挑戦してるなと。 推理バトルが軸で学園モノ。興味があり読みました。ヒントを多めで親切でありながらも意をつく謎にしているのは流石でした。 太字で事件に関係していると表すのは斬新ですね。 また、学園の特性を活かした展開で…

仮面幻双曲

ミステリとして、読み応え抜群の長編でした。大山先生は短編、中編のイメージが強かったですが、今作で長編もいけると魅せてくれた。 仮面を被った犯人を捜せという惹かれる設定で最初から最後まで釘付けにされました。 双子、入れ替わり、探偵、地元の有名…

校庭には誰もいない

面白い上に読みやすい。 青春とミステリの配分が上手い。 主人公・葉音の心踊る様子や各話の謎の真相が気になって仕方なかったです。また、真相に至るまでの推理もスムーズで良かったです。 葉音の恋というか、憧れ。青春に対するモチベーションは眩しかった…

Y駅発深夜バス

あらすじにある通り、ミステリのショーケースのような1冊でした。久しぶりにミステリ作品で気持ちが高まりました。 あの手この手で、謎解きの快感が伝わってきました。 ミステリ好き必読の短編集になっていました。様々なバリエーションで読者を振り回してき…

世界でいちばん透きとおった物語

タイトルが大袈裟ではなくて、そのままの通りだったのは驚きました。 序盤から終盤まで死んだミステリ作家の原稿を探していて、その過程で知る作家の人間性になんだかモヤモヤする展開だなと思いましたが。最後の真相判明でガラッと変わりました。 そう来る…

育休刑事 (諸事情により育休延長中)

続編が出たということはシリーズ化かな。嬉しい限りです。 蓮くんの成長を追ってるの楽しいです。段階を追って出来る事が増えていくのは親にとって嬉しいですよね。育児の困難は多々あるが、赤ん坊の笑顔を見れば吹き飛ぶのは分かる。 育児を交えながら、密…

魔女の原罪

やはり五十嵐律人先生の作品は素晴らしいなと。テーマがあり、それを生かす舞台を整えるのが非常に上手い。法律を遵守するあまり、法律でなければ何やっても良いという歪な街を舞台にしていて、惹き込まれる導入でした。 今回は犯罪加害者、被害者、そして傍…

勿忘草をさがして

鮎川哲也賞最優秀受賞作 去年は受賞作が無かったので、今年はあって良かったです。 花と人、おろそかになってしまいそうな事を見つめ直していき、人の関係を前に進めていく優しい物語でした。 人情味ある物語でありながらも、ミステリとして気になるようなシ…

ダブル・ダブル〔新訳版〕

見たて殺人でも犯人を誘導していくエラリイの動きは見事でした。犯人に至るまでの思考や調査から、よく犯人を見つけられるなと。今回はなんだが、ふわっとした感じがありましたが、犯人の動機に関してはそう繋がるのかという驚きとそこまでするかという気持…

九尾の猫〔新訳版〕

落ち込むエラリイにダメ出しかけるような、そんな巻でありながらも再び前に向けるようになる重要なエピソードだった。 連続殺人犯と対する警察官達。そこに協力するエラリイ。探偵としてのあり方に迷いがあるエラリイにとってはまたしても…な展開でしたが、…

掟上今日子の旅行記

ページ数は少ないが、シチュエーションに長けているので最後まで惹きつけられるエピソードだった。 掟上今日子のパリ旅行。ただではいかないのがわかっていたが、今日子さんが探偵ではなく、怪盗に!? 記憶を失うことや身体に書いた文字を信じることを利用…

答えは市役所3階に 2020心の相談室

辻堂先生の持ち味である、人間の繋がりの良さがあり、かつミステリ要素が濃くて非常に満足度が高いです。 非常に読みやすくて、お悩み解決後の真相に驚かされました。区役所のカウンセラーに相談する人達の話さなかったことを推理して、組み立てるのが凄く良…

教室に雨は降らない

前から気になっていたが、ようやく読めました。 小学校を舞台にした日常の謎。制限がかかりそうな設定ですが、上手く謎を作っていて、真相が気になる短編集でした。 子供や親、教師、教室、学校というのは様々な悩みや問題が生まれる場所だなと。 悩む人に寄…

愛蔵版〈古典部〉シリーズI 氷菓・愚者のエンドロール

米澤穂信先生を知るきっかけとなった古典部シリーズ。それが単行本として、新規小説を加えて発売されるなんて嬉し過ぎます。 素晴らしい1冊になっていました。 氷菓、愚者のエンドロール、プールサイドにて、クリスマスは箱の中、受賞のことば、エッセイ、古…

十日間の不思議〔新訳版〕

毎回のことだけど、ライツヴィルシリーズ作品、どれも読み終えてからの衝撃が重たい。 張り巡らされた伏線を回収して、犯人の真意まで追っていると、ドッと来ます。 馬鹿正直に読んでいたから、真相にたどり着いた時にもっと注意して、考えていればと思いま…

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VIII 太宰治にグッド・バイ

今回も事件に巻き込まれる李奈。もはやスムーズ過ぎて、驚かない。 太宰治がサブタイトルに入ってる段階で薄々感じていたが、暗い話に。偉大な作家の業を現実に落とし込んだら、こうなるかといった結末。様々な謎が繋がって、明かされる結末にやるせない気持…

虚構推理短編集 岩永琴子の密室

短編集なので、サクサク読めました。 序盤は軽めの話で、中盤は考えてしまう話、終盤は心が重たくなるような話。 バリエーションの豊富が感じられる1冊。 琴子のあり方も自由で、だから様々な事件に対応出来るのだなと。 なんだかんだで話を聞く九郎。 しか…

容疑者Xの献身

映像版を観て、内容を知っていても衝撃を受ける最後。 気になっている人のために、徹底的に警察を欺いていく姿勢に胸が痛む。 自身を犠牲にしても貫き通す石神の姿を否定出来ない。 頭がズシンと重たくなる真相でした。読者と警察を欺いた石神の頭脳は見事で…

蝉かえる

全話シリアスで、ユーモアが少なめだったのは残念ですが、その分重みのある物語になっていました。謎の背景にある、人の願いには切なさが多分に含まれていました。 残酷な現実と向き合っていく、人の姿勢が窺える。 魞沢も控えめな態度でしたが、彼の優しさ…

サーチライトと誘蛾灯

蝉かえるが文庫化されたので、読み返しましたが、何度読んでも面白い。 主人公・魞沢のユーモア溢れる語り口から、切ない事件の真相に向かう流れがスムーズ。 だから、感情の流れをよく追いかけられる。事件関係者の内なる想いまで拾っているからこそ、読後…

動物園の鳥

素晴らしい最終巻。 坂木と鳥井の関係の不安定さ、危うさについて考える。 読み終えて、タイトルと表紙を見ると、繋がっているんだなと感じました。 人間だって、動物。動物だって、自然に生きている。悩み、苦しみながらも生き方を見つけていく。 坂木と鳥…

仔羊の巣

シリーズ2巻目。 1巻に出てきた人達も出てきつつ、坂木の同僚や様々な人が新しく登場してくる。 何度も出てきて、坂木と鳥井に絡んでくる人達の優しさは良い。生活に根付いているところにシリーズモノの良さが感じられます。 今回も未来に、現状に迷える人達…