羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

双葉文庫

鬼人幻燈抄 (五)-明治編 徒花

落ち着いた雰囲気になっていて、それだけ甚夜が年を重ねたということか。復讐の気持ちだけではなく、人としての営みを大切にしているのが分かる。娘との距離感には頬が緩みます。 激しい戦いは少なく、移ろう時代と取り残される武士の心情が切ない。今までは…

よるのばけもの

再読したら、1度目とは違った感覚になって読み終えられました。 インパクトは薄いかもしれないが、周囲を気にして生きていた主人公にとっては革命を起こしたんだなと。 学生の頃の夜は大人とは違う悩みや迷いを呼ぶ。 主人公・あっちーが想像が膨らみすぎて…

また、同じ夢を見ていた

独特の雰囲気が魅力でした。 何度読んでも心に沁みる良さがありますね。 子供だが、大人びた主人公・奈ノ花がゆっくり成長していく様子を描いている。 確かに周囲より、精神の成長は早いが他の部分はまだ未熟。 奈ノ花が自分と周囲に距離を置いていたが、様…

会社を綴る人

読んだら愛おしくなる主人公でした。 ポンコツサラリーマンだが、文章を書くことが得意である主人公が老舗の会社にひょんなことに入社することに。 周りの社員からのダメ出しを受けながらも、自分の武器を活用していき、会社の風向きを変えていく。 ネガティ…

鬼人幻燈抄(四)幕末編 天邪鬼の理

あぁ、この作品好きだなと改めて思う1冊。 刀を振るう機会がなくなっていき、武士の時代が終わる間際に揺れる武士の迷いが見事。そこに鬼の存在が絡んできて、より複雑になっていく。 辛くて儚い。だけど、それで終わらずに前向きに未来へ行けるような余韻が…

鬼人幻燈抄(三)-江戸編 残雪酔夢

前巻で甚夜は父と再会し、家族のような場所を見つけたのに、それも長くは続かなかった。甚夜は戦場でしか生きられないのか。 今回は穏やかに終わるかと中盤までは思っていたが、そんな甘くなかったか。またもや心締め付けられる別れが甚夜を襲う。甚夜にと…

彼方のアイドル 文庫

魔女がとけたあともからタイトル変えて文庫化。 奥田先生の作品の中ではおとなしい雰囲気の作風でしたが、どの話も読み終えると肩の荷が降りるようなスッキリ感がありました。 この作者の文章、物語のテーマは人の心の痛みやそこからどうなっていくのかを親…

僕と先生 文庫

日常とミステリーの配分が絶妙で、日常の謎として読みやすいし謎にも頭を使うので読み応えがあります。 明るい物語と見せかけて、裏に潜む問題は割と重い内容なのは、上手いですね。 怪盗が登場するが、キャラクター性は良いが考え方ややっていることを軽く…

先生と僕 文庫

大学生と中学生の微笑ましい交流の日々… だけではなく、何気ない出来事の裏に潜む悪意。 見逃していてもおかしくはない悪事を見つけることでもあって、何気ない光景から犯罪を見つけ出すという作風が気に入りました。 最初から最後まで、命の危機というのは…

鬼人幻燈抄(2)-江戸編 幸福の庭 文庫

1巻の後、甚夜が成長したのが伺える。 激動の始まりから、旅して強くなって頼もしくなっている。 鬼と人は敵対するものだと思うが、中には手を取り合って支え合えることもあると懐の広さを感じました。 人の生活に紛れていたり、様々な鬼の生き方があるんだ…

鬼人幻燈抄(1)-葛野編 水泡の日々 文庫

単行本刊行時から気になっていたが、時間が経ち文庫化されたので読みました。 面白いだろうとは思っていましたが、想像以上に胸にグッとくるものがありました。 序盤で世界観や登場人物の背景をしっかり描かれているからこそ、中盤以降の切ない三角関係とそ…

だから僕は君をさらう

表紙の雰囲気とタイトルに誘われて買いましたが、読み心地良かったです。 なぜさらうのかというのかが大事なことで、最初に出頭するのを見せて、いかにしてそこに至るまでが、上手く描かれていました。 犯罪者の父を持った主人公・守生の周りに様々な傷を持…

湊かなえ先生の衝撃デビュー作 告白 文庫 

湊かなえ先生の作品はデビュー作から読もうかと。圧巻でした。(あらすじ)「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語…

よるのばけもの

単行本で読んでたが、文庫版の表紙に惹かれ読みました。1度読んだ時よりもより作品の命題に気づけたし、最後の引きをよりよく感じられました。1度目はあっけないなと感じてしまい、あまり良い印象を持てなかったんですけど、主人公・あっちーの苦しみが分か…

また、同じ夢を見ていた

以前に単行本で読んでいたが、何となく読み返そうと思い文庫を買い、再読しました。主人公は小柳奈ノ花。人生とは〜を口癖にちょっぴり背伸びした女の子。この物語はそんな奈ノ花が、尻尾が短い猫、手首に傷がある南さん、カッコイイアバズレさん、おばあち…

さとり世代の魔法使い

藤まる先生の新作。今作は魔法使いモノ。現代の若者の象徴みたいな主人公の雫がハッチャケていて、相棒の爽太も良い感じに賑やかしてくれて、楽しく読める。ただ、それだけではなく、雫、爽太は悩みを抱えながらも誰かの助けになろうとする優しさを持ってい…

九月の恋と出会うまで

九月の恋と出会うまで (双葉文庫)作者: 松尾由美出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2016/02/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 映画を観てから読んだら、変更点が多くて驚きました。元はこっちが最初なんですけど映画から入った身としては、…

僕は僕の書いた小説を知らない

僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)作者: 喜友名トト出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2018/09/13メディア: 文庫この商品を含むブログを見る (内容)「失ってしまう記憶の代わりに、最高の物語を残したい」小説家の岸本アキラは、ある朝目覚めると“昨日”…

君の膵臓を食べたい

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)作者: 住野よる出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2017/04/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (19件) を見る 単行本で読んでましたが、アニメ映画の予習として文庫版も読みました。(内容)ある日、高校生の僕は病院で一冊の文…

時給三〇〇円の死神

時給三〇〇円の死神 (双葉文庫) 作者: 藤まる 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2017/12/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。の作者の藤まる先生の新作。 主人公の佐倉真司は同級生の花森雪希に時給三〇〇円…