羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

文藝春秋

可燃物

ミステリのアンソロジーで収録されていた一編は読んでいたがゆえに、楽しみにしてました。 米澤穂信先生の警察ミステリが初めてなのは意外というか、作風の幅の広さを感じられる作品でもあります。 孤独の刑事が事件の真相に至るまで、思考を深めていく。周…

ノウイットオール あなただけが知っている

発売前から期待してましたけど、超えてきました。挑戦的な作品でありながらも、しっかりまとまっているのは作者の熱を感じられて良い。 一つの小説に五つのジャンルを詰め込む。発想が良いが、よく一冊にまとめあけだなと唸るしかない。読んでいて、胸が高ま…

魔女の原罪

やはり五十嵐律人先生の作品は素晴らしいなと。テーマがあり、それを生かす舞台を整えるのが非常に上手い。法律を遵守するあまり、法律でなければ何やっても良いという歪な街を舞台にしていて、惹き込まれる導入でした。 今回は犯罪加害者、被害者、そして傍…

光のとこにいてね

ずっしりと心に響く物語でした。 少女と少女、家庭に振り回される少女2人が心を寄せ合い、離れて、また出会い、離れる。ままならない人生を描いていて、最後に掴んだ光には切なさと暖かさがありました。 恵まれない境遇のなか、巡り会えた奇跡。 互いに互い…

世界が青くなったら

青春小説を書くのが上手い武田彩乃先生の新作は大人を登場人物にして、ファンタジー要素を加えていて、今までの作品とは違う読み味でした。 ある日、主人公・佳奈の恋人が世界から痕跡が消えた。どういうことか突き止めるために動く。謎を追ううちに成り行…

人間の哀愁が漂う Iの悲劇

米澤穂信先生の新作は寂れた村の復興Iターンプロジェクト。死んだ村を復興させるために、移住民を集めるが、様々な問題が浮かびあがる。何から何までも甦り課に苦情がきて、対応していく。一章 近所付き合いの裏側二章 あっけない事実三章 善意が全て正しい…