羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

名探偵の証明

名探偵の証明 (創元推理文庫)


諸行無常。時代は常に移り変わっていく。


かつて名探偵として名を馳せた屋敷啓次郎が自分の老いと戦い、そして名探偵の宿命に立ち向かう話。


渋いおじさんが好きな人は絶対に読んでほしい。


若い名探偵の蜜柑が持て囃される中、屋敷は過去の後悔と向き合い、答えを出す結末は泣くしかない。名探偵ということを追求した今作でしたが、改めて名探偵は誰でもなれるものではなく、覚悟が必要ということだ。


終始、屋敷の生き様に惹きつけられて、読み終わった後のなんとも言えない感情を大切にしていこうと思いました。



名探偵や渋いおじさんが好きな人に是非、読んでもらいたい力作でした。

スガリさんの感想文はいつだって斜め上

スガリさんの感想文はいつだって斜め上 (5分シリーズ+)


読書感想部を作るほど、作品の感想を書くのが好きなスガリさんが読書感想文を書くたびに、その感想が話の謎に繋がるのが作品の形。

凄く面白かったです。スガリさんの独特な目の付け所の感想文やスガリさんのキャラ造形が物語を引っ張っていて、スガリさんの魅力に気づいた時には作品の虜になってます。それと読書家に刺さるセリフがところどころあり、嬉しかったです。


読みやすいし、内容は重い謎と軽い謎の2話構成でバランス良かったです。ただ、もう1話あっても…と思います。

ポテンシャルの高い作品なので、シリーズが続くならば250P超えてもらいたいなと。あと、直山さんの同棲してる彼女が見たいです。


シリーズとして続いてほしい作品なので、多くの人に読んでもらいたいです。

ラメルノエリキサ

ラメルノエリキサ (集英社文庫)


ハンムラビ法典をモットーに生きる少女・りなが、ある日夜道で切りつけられる。その時犯人が残した「ラメルノエリキサ」という言葉を頼りに犯人を捜す。


りなちゃんが復讐大好きっ子で、とにかく強気に振り切れてるの好きです笑 とにかく行動する子でグイグイりなちゃんに引っ張られるように一気読みできます。

また、ミステリー的にも程よく出来ていて、楽しかったです。


キャラ小説、ミステリー小説としても確立されていて、良い作品でした。

きみの分解パラドックス

きみの分解パラドックス (富士見L文庫)

きみの分解パラドックス (富士見L文庫)

分解マニアの天使とその異常性を隠そうとする結城が連続殺人事件に関わるうちに、校内の1人が殺害される。


天使と結城が互いを理解しながら、日常に溶け込もうとするが、他にも異常な一面を持ってる子がいて、世界は狭い。


キャラの掛け合いや追求する心理面を読むのが面白かったです。



日常に紛れる異常者というのも良いですね。みんな自分の本質を隠して生きてるっていうのは世の常ですね。

家庭教師は知っている

家庭教師は知っている (集英社文庫)


本屋で表紙とあらすじを読んで面白いだろうなーと思ったら、本当に面白いし自分好みで良かったです。

家庭教師は家に入って、仕事するのでどうしても家族との関わり合う。そこで問題があるのではないかという疑問が頭に浮かぶ。そこの家の問題に踏み込むのか踏み込まないのか、尻込みするのは分かる。ただ、それで良いのか。良い着眼点を持った作品でした。


短編5本でそれぞれ、重い暗い背景があり、スッキリするというわけでなく。読んだ後も引きずるような感じで、自分好みで良かったです。

最後は短編の繋がりを感じるような締めで、驚きました。まったく想像してないところからだったので作者にやられました。



良いミステリー作品でした。

その日、朱音は空を飛んだ

その日、朱音は空を飛んだ (幻冬舎単行本)


朱音が空を飛ぶ。


そこに至るまでの流れと空を飛んだ後の錯綜劇が男女6人の視点から描かれて。最後は朱音本人の視点から空を飛んだところまでを。


読んでて重くのしかかってきて、各人物の描写が鬱屈したものでした。高校生の黒いものを深く深く掘り下げていて、現実のような架空のような、感じでした。



自殺は唐突に起こす可能性は低いし、そこに至るまでのプロセスがある。自殺は様々な要因が絡み合うから止めるのは難しいよなと。


読み終えた後の解放感はありましたので、ゆっくり読むのを勧めます。

流星の下で、君は二度死ぬ

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)


身近な人が死ぬ予知夢を見る、少女・みちるが大切な人が死ぬ未来を見てしまうところからこの物語は始まる。

過去に予知夢を見ておきながら、何もせず予知夢通りに身近な人が死んでしまい、後悔していたみちるだが、そんな後悔を抱えながらも大切な人のために奔走するのはまさしく青春。そして、大切な人の死を回避したと思ったら違う人物がなくなっていて… どうなってるのか分からない状況から調査し、迎えた真相は衝撃的でした。

ただ、みちるが必死に辿り着いた結末はかけがえのないものだったのではないかな。


良い青春ミステリーでした。