羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

いたいのいたいの、とんでゆけ

 三秋縋先生らしい作品でした。この人の作品の独特の空気が癖になります。

 

 今作は、無気力な主人公の僕がある日やけ酒して飲酒運転をしていたら、少女を引いてしまった。その子は死の瞬間、傷や痛みを先延ばしにする能力を持っていたーー

 

 主人公と少女が落ちるところまで落ちていく姿は残酷で醜く、そして美しさがありました。少女を"死なせてしまった"罪として、僕は少女がやりたいということを手伝うことに。少女の願いは今まで復讐したくて仕方ない人達を殺していくということだった。復讐を果たしていく少女に惚れていく僕はどうしようもないですが、このどうしようもなさが良かったです。自分が殺した少女が誰かを殺していく姿を見惚れる。そして最後は自分をってどれだけ少女のこと好きになってるんですか。少女の裏に秘めた想いも含めると、復讐物語と一括りするには勿体ないです。

 

 暗めな雰囲気が好きな人に是非手にとってもらいたいです。