- 作者: 佐野徹夜
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/10/25
- メディア: 文庫
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(内容)
人にはポイントがある。ルックス、学力、コミュ力。あらゆる要素から決まる価値、点数に、誰もが左右されて生きている。人の頭上に浮かぶ数字。そんなポイントが、俺にはなぜか見え続けていた。例えば、クラスで浮いている春日唯のポイントは42。かなり低い。空気が読めず、友達もいない。そんな春日のポイントを上げるために、俺は彼女と関わることになり―。上昇していく春日のポイントと、何も変わらないはずだった俺。これはそんな俺たちの、人生の分岐点の物語だ。
(感想)
佐野徹夜先生の新作ってことで非常に楽しみにしてました。期待を上回る内容で物語に夢中になって、主人公の青木に共感しまくるあまり、痛み悶えた。どうして、人ってこんなに自分と合わないんだろう?どうして、自分は他人とは違うんだろうとか色々考えてしまうね。深く考えると止まらないから、やめよう。うん。
人のポイントが見えるあまり他人を浅く見下してしまう青木が若いなと思うが、若いなで済ませてはいけないんだろうな。クラスで浮いてる春日と関わっていくうちに、自分では知らない自分が生まれていく青木の不器用な感情はなぜか美しいと思った。
落ちていく青木が春日や想い人の成瀬と触れ合い、衝突して、新たな自分を生み出そうと歩き出すラストは素晴らしい読後感を与えてくれました。
人間関係などに悩む人や暗く仄かな青春が好きな方にオススメです。
それにしても、佐野徹夜先生の文章を読むと深みにはまっていくので癖になります。
先生の今後の活躍を楽しみにしています。
デビュー作の「君は月夜に光り輝く」映画化おめでとうございます。そちらも楽しみにしてます!