青春の苦いところをよく見せる達人。三田千恵先生の新作。
タイトルにある通り、ゲーム作りがメインかと思いきや、名作と言われるとあるゲームが作られたことにより、生み出された悲劇の解明がメインでした。
外部から入ってきた、主人公・水谷が問題視されているゲーム部に入り、外からの視点で過去を探っていく、青春ミステリー。
また、それだけでなく、水谷の複雑な家庭環境も物語の進行に合わせて重なっていき、自分の殻と向き合っていくという面もあります。
登場する人物達、みんな複雑な気持ちを抱えていて、素直に自分の気持ちを吐き出せない。そんなみんなが抱えている悩みなどは事件の解明と共に明かされていきます。
どの真実も優しいような苦いような気持ちが分かれそうですが、高校生の気持ちの揺れ動きを青春に落とすところに作者の持ち味が出ていたかな。
水谷の爺ちゃんには何度も癒されました。こんな爺ちゃんになりたい…
それはさておき、皆の後悔が洗い流されて良かったです。
明るくはないですけど、これはこれで良い青春なのではないでしょうか。