羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

あなたが眠るまでの物語

あなたが眠るまでの物語 (メディアワークス文庫)

 

久しぶりに物語に入り過ぎて、気持ちや感情が乱れてしまいました。

人の死については避けられないけど、出来るだけ目を逸らしていたくなる。しかし、今作はしっかり死に近づいている人の気持ち、関係者の関わり方などを描いているので、向き合わなければという気持ちになりました。

凄く心に訴えかけてくるメッセージがあって、忘れられない1冊になりました。人の死というのは避けられないもの。本人と家族との距離感や価値観、生死の捉え方は違うということ。立場や考えはそれぞれある。それをすり合わせていく難しさを感じました。

 

読んでいて、じーんと目頭が熱くなりました。長く生きるというのは簡単ではない。

 

 

余命1ヶ月。天国に近いこの場所で、死を待つ人に、私ができること。

天国に近いこの場所は、今日も命のにおいで満ちていた――。

緩和ケア病棟で看護師をする倉田さんの仕事は、余命宣告をうけた患者さんのケアをし、その最期の時まで寄り添うこと。チームカンファレンス、介助、エンゼルケア。ときに複雑な事情を抱える患者と家族に向き合いながら、いくつもの死を見送ってきた。
この静かな病棟で、ある日起きた幽霊騒ぎ。出所不明の噂は、患者、主治医、新人看護師、配達中の売店スタッフまでを巻き込んで、棟内に波紋を広げていき……。誰にも等しく訪れる〈最後の夜〉を描いた、号泣必至の感動作。

グレイラットの殺人

グレイラットの殺人 ワシントン・ポー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

ワシントン・ポーシリーズ最高。

毎回、最後まで読んで事件の真相に唸るばかり。

前巻の真相に痛めつけられたが、今回はわりとユーモア多めで楽しめました。ポーとティリーのわき道にそれる会話はずっと追っていたい気分になります。タッグ感に磨きがかかってきて、益々貫禄が増してきました。

 

今回不思議な事件現場から違和感を見つけ、小さな事から掘り下げていき、妨害にも屈せず犯人に突き進むポーとティリーのコンビが魅力的過ぎました。ブレーキがなくてアクセルしかない感じ好きです。

無鉄砲なポーだが、犯人や事件関係者には誠意を見せる場面があるのはずるいなぁと思います。犯人との対峙は読み応えあります。

 

事件の複雑さも良きです。戦争なども絡んできて、一概に犯人を責めきれない感じが良い。

 

フリンさんの職場復帰やポーの家族の事など、まだまだ目が離せないシリーズです。

売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。ポーは3年前の強盗殺人事件との関連を疑い……

吉田正尚 ROAD to the TOP <頂への冒険>

吉田正尚 ROAD to the TOP <頂への冒険>

好きな野球選手なので読みました。頂を目指す為に日々努力や工夫をして、常に向上心を持ち続けるのは大リーガーという夢があるからか。

今年はWBC、大リーグ挑戦が重なっていたが乗り越えているのは常に思考を回し、行動しているからか。

ストイックでやるべきことを淡々と重ねて、様々な工夫をして取り組む姿勢は何事にも通じるのかなと。

オリックスの希望でしたが、日本一を引っ提げて大リーグに挑戦していく姿に勇気を貰えます。環境、対戦投手、様々な困難があるだろうが乗り越えていくんだろうな。

 

打撃へのこだわり、自分の持ち味を磨き続ける姿を追いかけていきたいです。

 

侍ジャパンWBC優勝に導いた主砲、待望の初書籍!
今まで語られてなかった独自の思考と野球観。
WBCでも輝いた男が見据える「No.1」への道程。
この男の真実がここにある。

僕らはまだ
本当の吉田正尚
何も知らない。

ミステリ作家 拝島礼一に捧げる模倣殺人

ミステリ作家 拝島礼一に捧げる模倣殺人 (メディアワークス文庫)

題材、テーマが興味深くて、物語にうまく溶け込んでいたので説教臭くなっていないのが素晴らしい。

人を傷つけない表現はない。それが現実。それでも創作者として矜持を持って、表現をしていく拝島先生の決意は希望があって良かったです。

現実でも起こり得るラインを攻めていて、小説から受ける影響、SNSで吐き出す人を傷つける言葉、全て自覚しなければならないなと思います。作家だけでなく、誹謗中傷を行う人への戒めとしても良いかな。読者も想像力や物語の捉え方を養わないといけない。

何かを発信する側、受け取る側、双方が意識していかないといけないですね。

 

また、犯人との探り合いはスリルがあり、良かったです。出し抜きあいの緊迫感がありました。

 

天才ミステリ作家と週刊誌記者が立ち向かう、おぞましき猟奇事件。

謎に包まれた天才ミステリ作家・拝島礼一の代表作「絵札の騎士」を模倣した連続猟奇殺人事件が発生。
新米週刊誌記者の織乃未希は、唯我独尊な拝島に半ば強引に協力を求められ、秘密裏に事件を調査することになる。
"原作者"としての強みと推理力で事件を紐解いていく二人だったが、模倣犯が仕掛けた狡猾な罠や、世間に渦巻く"正義"という呪いが容赦なく襲い掛かってくる――。
壮絶な頭脳戦の果てに、二人が辿り着く驚愕の真相とは?

ハツカネズミと人間

ハツカネズミと人間 (講談社文庫)

帯と紹介に惹かれて読みました。

貧富の差がある社会だからこそ、読まれるべき物語でした。

貧しくても、未来に希望を抱いていた2人の絆の行く末に不安が膨らみ始めてから結末に至るまでの流れがスピーディーで息をつく暇がなかった。

2人で一つの目標に向かって生きていたかっただけなのに… 哀しく、寂しい幕引きに胸が痛む。なんでこうなってしまうんだろうと。貧しくても一日一日を生きていた日々はかけがえのないものだった。

 

 

いつか自分たちの土地を持ち、
ニワトリやウサギを飼い、
土地からとれる極上のものを食べて暮らす──。

しっかり者のジョージと怪力のレニーは小さな夢をもっていた。
自然豊かな一九三〇年代のカリフォルニア。
貧しい渡り労働者の、苛酷な日常と無垢な心の絆を描く、
哀しくも愛おしい名作が新訳で登場!

ワンダンス(11)

ワンダンス(11) (アフタヌーンコミックス)

カボとワンダのダンスバトルは初期を思い出すようで何よりでした。やはり2人はダンスで語った方が分かりやすい。

恩部長の強かさが見れたうえに、完璧な彼女にも隙が見えて良かったです。

 

ソロのダンスが続いていたが、久しぶりにグループのダンスに参加して、見せたカボの表現が圧巻でした。

迷いながら成長していて、安心安心。

没頭していく姿を見ると刺激になります。

 

3年生最後のコンテスト「ダンスアリーナ」の地方予選が始まる。自分のスタイルへの迷いから部活に身が入らず、補欠メンバーになってしまったカボ。恩ちゃんはカボのステージでのパワーは評価しているものの、気持ちが乗っているからできる表現だからこそ、今回カボを選ぶわけにはいかなかった。予選開始まであと30分。湾田がカボにダンスバトルを提案する。自分とのバトルで、曇りなく踊れる姿を恩ちゃんに見せればいいと伝える。「思えば…こうして向かい合って踊るのも久々な感じがする」コンテスト出場を賭けて、湾田とのバトルが始まる!

午後のチャイムが鳴るまでは

午後のチャイムが鳴るまでは

阿津川先生の新作はユーモア溢れる青春ミステリ。

読み終えたら、あぁ!と繋がりに気づき、満足して読み終えられる短編集でした。馬鹿なことに夢中になれる高校生の時間は貴重なものです。各話の謎に至るまでの伏線がしっかり張られていて、読者としても考えながら読めるラインだったかな。自分はあまり当たらなかったが笑 突飛な謎でない分、高校生が軸という意味があった。

タイトルの意味が分かる、名探偵の暗躍っぷりが1番の謎だったかな笑 彼の頭の良さは最早ファンタジーでそこはどうかなと思いました。

 

バカやる高校生の物語を締めるのが大人っていうのが良いなと。

過ぎてしまった時間を感じさせられました。

こいつら、最高すぎる……! 昼休みの“完全犯罪”にご用心!?
本格ミステリ大賞受賞作家の最高到達点!

九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。タイムリミットは65分、奴らのミッションは達成なるか(第1話「RUN! ラーメン RUN!」)。文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文芸部員たち。肝心の表紙イラストレーターが行方不明になり、昼休みの校内を大捜索するが――(第2話「いつになったら入稿完了?」)。

他人から見れば馬鹿らしいことに青春を捧げる高校生たちの群像劇と、超絶技巧のトリックが見事に融合。稀代の若き俊英が“学校の昼休み”という小宇宙を圧倒的な熱量で描いた、愛すべき傑作学園ミステリ!