羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

難事件カフェ

難事件カフェ (光文社文庫 に 22-4)


様々な事件にお菓子を添えて。

(あらすじ)

洋菓子が美味しい喫茶店プリエールは、店主の兄・季と、元警官でパティシエ役の弟・智が切り盛りする隠れ家的お店だ。優秀な警官だった智を連れ戻そうと店に詰め掛けるのは、県警秘書室の直ちゃん。彼女が持ち込む未解決事件を、兄弟で捜査することになって――。四つの奇妙な殺人事件を、名探偵の兄弟の絆と甘いケーキが解決に導く。ほろ苦く切ない傑作ミステリー。 
『パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から』 改題


パティシエとミステリーということで読みましたが、わりとパティシエ要素は薄い笑

だけど、作品の中盤からは話の楽しみ方が分かってからは、どう転がっていくのか想像しながら読めます。


カフェで働く兄弟に様々な事件の解決へ協力するスタンスなんですが、警察のやり方はちょっと汚いところがあり、そこは気になるかもしれないが、次第に慣れていきます。

それに直接依頼してくる人は悪くないので大丈夫かな。


最後の話は中々重いですが、最後の幕引きは印象に残るし、考えちゃいます。


毎回、事件の内容をスイーツに擬えて閉めていくのはうまいなと。

もう少しカフェ要素が増えるといいなと思います。


恋愛要素も微妙にあり、そこもさじ加減次第で盛り上がっていきそうです。



シリーズ作品ということで続きが楽しみです。



ひきこまり吸血鬼の悶々2

ひきこまり吸血姫の悶々2 (GA文庫)


コマリの力がすこーし明らかに。そして友達ができた。

(あらすじ)

「たとえ世界がひっくり返っても私は引きこもる!!!」 
第11回GA文庫大賞《優秀賞》 
自己評価↓最低 他者評価↑最高 ダメダメ美少女が大勝利! 

「ごめん。お前、誰だっけ」? 
コマリが意図せず煽ってしまったのは 
七紅天大将軍の一人、フレーテ・マスカレール。 
これがきっかけで事態はどんどんエスカレートし、
ついに将軍同士が覇を競う「七紅天闘争」にまで大発展してしまう! 
敵となる将軍どもは手ごわいヤツばかり……かと思いきや、 
コマリは新たに七紅天となった少女、サクナと打ち解ける。 
文学趣味で、コマリのことを「姉」と慕うサクナは、 
コマリ以上に内気で気弱な子だった。 
一方その頃、宮廷内では要人暗殺が横行。 
さらにはヴィルがサクナに微嫉妬したりと、 
コマリの周囲は大さわぎ。 
コマリの平穏な引きこもりライフは、はたしてどうなる!? 


今回はコマリの力が疑われて、闘争に参加しなければならないことに。

やっぱりかと。

無茶な展開の連続でコマリが嘆くのが面白いです。可哀想だけど、笑ってしまいます。

それでもヴィルと新キャラのサクナが手伝ってくれて良かった。

相変わらずピンチの連続ですが、コマリの力が解放されると強い。ただ、今回はサクナと仲を深めていたおかげで助かりましたね。

どんな時も勇気は備えているので、奮い立つ姿は読んでて滾りますね。

コマリって身近な人物を大切にするから、みんなコマリの為に動こうと思うんだよね。


今回の闘争でコマリのピンチではあったが、実力を示せたので今後は侮られない…はず。

コマリの力の裏側も少し明かされて、そこがどう響いていくのか心配です。

新キャラのサクナは友人ポジションで、特殊な趣味や抱えている問題などが濃かったです。二面性があるが、優しく強かなキャラなのがやりますね。

彼女も輝いていて良かったです。


ヴィルは相変わらずコマリのこと好きなのが溢れていて、良い性格してますね笑



世界観が広がってきていて、これからどうなっていくのか楽しみです。

日和ちゃんのお願いは絶対

日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)


絶対のお願いが織りなす世界。
(あらすじ)

まるで、世界が終わりたがっているみたい――それは。最後の恋物語。 
「――わたしのお願いは、絶対なの」 
どんな「お願い」でも叶えられる葉群日和。始まるはずじゃなかった彼女との恋は、俺の人生を、世界すべてを、決定的に変えていく――。 
ほんわかしていて、かわいくて、どこかちょっと流されがちで。 
それなのに、聞いてしまえば誰も逆らう気になどなれない「お願い」の力を持つ日和と、ただの一般人なのにその運命に付き添うことになってしまった俺。 
「――でも、もう忘れてください」 
世界なんて案外簡単に壊れてしまうのに、俺たちの恋だけが、どうしても終わってくれない――。 
これは終われないセカイの、もしかして、最後の恋物語

表紙から漂う寂しさ。
お願いをすればその通りになってしまう日和ちゃんの世界に主人公の頃橋が入ることで色が変わっていくかと思ったが、そこまで都合良くなかった。
最初は付き合っていくことで浮かれていたが、次第に日和が背負っていたことが明かされてから、冷水を浴びたような気持ちになる頃橋。

それでも日和の助けになろうとしたり、最後に挽回出来て良かったです。

日和は中々ズルいところがありましたが、嫌いじゃない。

話が二転三転していき、絵も合わせた仕掛けは好きなやつでした。

全体的にはもっと膨らませられると思うので続きが読めれば良いなと思います。

幼馴染の深春の扱いはもうちょっと、どうにかならなかったのかなーと。



リベリオ・マキナ4 ー《白檀式改》紫陽花の永遠性ー

リベリオ・マキナ4 ―《白檀式改》紫陽花の永遠性― (電撃文庫)


苦境から抜け出していく熱さを。

(あらすじ)

敗北と失意を越えて――ついに吸血鬼軍 VS 新公国軍の戦端が開かれる。 
オートマタコンテストがもたらしたもの。それは圧倒的敗北と喪失だった。 
水無月、桜花、全てを失ったその夜。リタの導きにより、カノンは密かにイエッセルを脱出。アルプスの山村で待ち構えていた吸血鬼王・ローゼンベルクから、彼女は驚愕の提案を受けるのだが……。 
一方、時を同じくして一人の吸血鬼が新公国軍の研究所を脱走した――「俺は陰からカノンを護衛する。ハウエルズとの戦いはまだ終わってないからな」 
吸血鬼軍と新公国軍の戦いの火蓋が切られる時、二人の姫とその騎士の命運をかけた反攻が幕を開ける。正義と反抗のバトル・ファンタジー第4巻!!!!


1巻から目指していた目的地までにたどり着いたことは本当に良かった。

最初から物語の中で大事だった部分を最後までやり尽くせたのは、凄いと思いました。

結構ドタバタしながらも巻数を重ねていくごとに積み重ねていたものがあったんだなと感じる最後でした。


ただ、前巻の絶望感からどうなるか期待していただけにそこはもう少し盛り上げてほしいなと思いました。

ラスボスのハウエルズが滑稽にしか見えませんでした。


カノン、リタ、ユーリがみんな前に踏み出していく締めもグッときました。みんな苦労した分、幸せになってほしいです。


水無月が不適格な理由とリベリオ・マキナに至るところは惹かれるものがありました。


バトル、青春、苦悩、様々な要素がありましたが、バラバラにならずバランスが取れていて凄かったです。


まだ、この続きが読みたいと思う作品です。


気になる方は読んでほしいです。

アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を

アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を (電撃文庫)


本の世界に入り込むという要素に惹かれました。

(あらすじ)

君の仕事は“主人公として本の中に赴き結末をハッピーエンドへ導く事”だ。 
“主人公”募集。そんな怪しいバイト募集の張り紙に惹かれ、謎の美女が主を務める洋館を訪れた平凡な高校生の輝馬。 
雇い主である彼女に促され手にしたのは、読んだ人間を眠りに誘い本の世界に引きずり込むという特別な本“アンフィニシュトの書”だった。 
物語の世界で憧れの主人公になり、可憐なヒロインと出会った輝馬。しかしある夜、彼女は殺されてしまい――。 
主人公だけが物語を幸せな結末に導けることを知った輝馬は、彼女を救うべく再び本の世界へ。はたして彼は物語の謎を解き、ヒロインを幸せにできるのか?


平凡な主人公である輝馬が主人公になれるという不思議な募集を見て、好奇心で応募して始まる。

平凡な生活から抜け出したいという気持ちに共感します。

1本前に踏み出した輝馬に待っていた、バットエンドの物語をハッピーエンドに書き換えるために本の世界に入り込むということ。


中盤までは軽く状況に流されていくんですが、このバットエンドを変えるというのがいかに難しいか分かってからは、輝馬と同様に何故こんなことになったのかを考えるミステリー要素があり、没頭して読めました。

失敗してもループして挑戦出来るんですが、輝馬が一度一度を大切にしているという姿勢に優しさを感じました。


失敗を繰り返して、傷ついたりしながらも、諦めずに掴んだ正解には様々な感情が込み上げてきました。

全体的に暖かさがありつつも切なさも含まれていて、心が揺さぶられる衝撃がありました。


輝馬が特殊な経験をしたことで自らの殻を破れて、良かったなと思います。


輝馬の雇主である霧ヶ峰さんや執事の時任さんも良いキャラしてて、掛け合いが豊かでした。


イラストも作風にぴったりでした。


ハッピーエンドで様々な種類があるが、そのことを深く考えることがなかったので、大切なことを知れたような気がしました。


単巻だけでも成立してるんですが、続いてほしいシリーズです。


吸血鬼に天国はない③

吸血鬼に天国はない(3) (電撃文庫)


死神や吸血鬼が生み出された理由。

(あらすじ)

監獄から抜け出した『死神』。死の匂いが充ちる街でルーミーたちは……。 
「お兄ちゃんも真面目に生きて、天国を目指そうって気になってきたんですか?」 
個人でやっていた運び屋を、会社として運営し始めて早一月。恋人のルーミー、そして社員として雇い入れたバーズアイ姉妹たちとともに仕事を回す日々。経営は苦しいながらもシーモアは、情報屋のフランから「真面目」とからかわれるような幸せに浸っていた。 
だがある日シーモアのもとに捜査官から、ルーミーのもとに殺人株式会社から、脱獄した『死神』の捕獲・討伐に協力するようそれぞれ秘密裡に依頼が入る。 
一方、『死神』の手による連続殺人事件が巷を騒がせるようになり、街は徐々に無秩序がはびこるようになっていた。はからずも同時期、街には新たなる怪異が産声を上げようとしていて……。


今までのように無軌道に動けるような立場ではなくなって、違和感があったシーモアだが、ルーミーもまた悩んでいて。。

相変わらず、悩み事に一からぶつかるから、凄い遠回りに進んでいくんだけど、そうやって自分の感情を噛み砕いて自分に取り込んでいくことで育まれていくから、確かな関係を築いていけるんだろうな。

悩まずに流されていく生き方よりも、悩みながら生きていく方がカッコ良いかな。


ボカされてきた死神の正体が明らかになり、なんて存在なんだと思ったが、思いがけないところに持っていくから、恐怖の象徴だけど憎めないですね。

そんな死神も迷いから抜け出せたみたいで良かったなと。


シーモアとルーミーのゆっくり変わっていく関係には焦らされるが、だからこそ最後の突き抜けたところにぐっときました。



まだまだ続きが楽しみです。

三角の距離は限りないゼロ5

三角の距離は限りないゼロ5 (電撃文庫)


秋玻と春珂の甘い誘惑に惑わされる。

(あらすじ)

僕と君と君の恋。どちらも選べない僕は、危険な場所に踏み込んで――。 
一人の中にいる二人の少女、「秋玻」と「春珂」。僕は自分を助けてくれた彼女たちと、ある約束を交わした。 
それは「二人に同じだけ恋する」ということ。デートで、部室で……次々と交わされる、胸を焦がすような甘いやりとりに、僕はおぼれていく。 
でも……心のどこかで警報が鳴っている――このままでは、いけないと。 
焦って空回った僕は、憧れの大人達と触れ合っていくなかで、いつしか理解していく。モラトリアムの終わりを。僕がするべきこと。しなければ、いけないことを。 
僕と彼女と彼女が紡ぐ、切なく愛しい、三角関係恋物語


秋玻と春珂の2人の人格を同じくらい愛さないといけないなんて、土台無理な話でしたね。

これは矢野が気の毒。

秋玻と春珂も少し、自分の気持ちを優先させ過ぎだと思うが、高校生ならしょうがないかなと。

恋愛面ではかなり踏み込んでいましたが、正直一方的すぎて、読んでて嬉しくなかったです。


矢野はしばらく停滞していて、モヤモヤする状況が続いていましたが、旧恋愛探偵の2人が気を遣ってくれて、焦る気持ちにワンクッション挟んでいて、良い解決の仕方でした。

高校生同士で解決出来ないことは大人に頼るのがいい。


進路や恋に振り回されていて、辛い展開でしたが、目指すところを見つけられそうで良かったです。