羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを2

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを 2 (富士見ファンタジア文庫)


自分がやりたいこと、やらないといけないことをはっきりとする大切さが伝わってきました。

(あらすじ)

ここは、この異世界でただひとつのコーヒーが飲める場所。現代からやってきた元高校生ユウが切り盛りする喫茶店だ。アイスコーヒーやパンケーキ、照り焼きバーガー、親子丼ならぬ親子パン等など新メニュー開発はもちろん、お客さんの話をカウンター越しに聞いてあげるのも喫茶店のマスターの仕事。女の子にモテたい。一生だらけて生きたい。ずっと愛しのあの子のそばにいたい。立派なお届け屋さんになりたい…この世界の住人たちにも様々な「夢」がある。そして、毎朝のようにカフェ・オ・レを飲みに来るようになったリナリアにも…?とびきりの料理と飲み物で、今日も異世界喫茶は賑わいます。


今回はお客さんの様々な事情が見えてきて、その方達の生き方が誰もが迷い悩みながら、掴んでいくものだからこそ、心に響くエピソードばかりでした。

特に冒険者を目指してきたガトリさんが自分の大切なものはなんなのかを知り、動き出したのはとても良い話でした。

あと、賭博の才能を持つおじさんの生き方はファンタジーの世界観だからこそ、尊いものだったのではないかと思います。


リナリア、ノルトリ、シルル、みんなユウの力になってるし、ユウに助けられているという関係が良い。


ユウも自分の夢を探していき、どこに向かっていくのか楽しみです。


迷っているときに読むと落ち着きますね。

吸血鬼は僕のために姉になる

吸血鬼は僕のために姉になる (ダッシュエックス文庫)


優しさが溢れていました。。

(あらすじ)

丘の上の屋敷には、盲目の吸血鬼が住んでいる。そういう噂を聞いたのは、僕がとても小さな頃だ。 
唯一の肉親であった祖父を喪った僕は、件の女性、霧雨セナに引き取られた。 
彼女の正体は噂通りの吸血鬼。ただし、性格は心配性でおせっかいの姉といった感じで、おまけに物理的な距離が常に近い。 
そんな彼女のまわりには、一つ目の怪物、犬の郵便屋など、多種多様な生き物が溢れていて、それらが視える僕には特別な力が宿っているらしい。 
未知の世界で新しい家族――吸血鬼・セナをはじめとする人外の存在と絆を深めるラブコメディ。 
第8回集英社ライトノベル新人賞《銀賞》受賞作!


正直、年上吸血鬼とのイチャイチャだと思っていた自分をぶん殴りたくなるくらい純粋な物語でした。

主人公・日向が吸血鬼・セナと一緒に暮らすことで、今まで見ていた景色とは違う世界が見えるようになり、身近にいる種族の隠していた気持ちと向き合うことになる。

日向が良い意味で正直者の凡人だからこそ、セナや佐伯、心音と正面からぶつかり会えたんだと思う。

幼馴染の心音の隠していたものは周りに溶け込むなら仕方がないもので、切実な悩み。

だからこそ、解決が前向きな感じで良かったです。

友人の佐伯の内に秘めている葛藤や日向への友情は胸が熱くなること間違いなしでした。男同士のかげかえのない絆が刺さりました。

最後に報われて良かったです。

吸血鬼のセナが背負っていたものは非常に重たいものがあり、日向と出会えて、胸に詰まっていた気持ちを吐き出せて良かったです。そして、日向の祖父の過去なども混ざっており、だから様々な種族に尊敬されるんだと説得力がありました。


様々な種族が存在し、共存している世界観や登場するキャラクター達の背景をじっくり描いていたので、作品の中に没頭出来ました。

読んでいて、感情が揺さぶられる物語でした。

出来るならば続きが読みたい気持ちが強いです。


作品の完成度が高いので安心して読めるのでおすすめです!



難事件カフェ2

難事件カフェ2 焙煎推理 (光文社文庫)


犯人の装い方はそれぞれ。

(あらすじ)

隠れ家的喫茶店プリエールに県警秘書室の直ちゃんが持ち込んだのは、企業の御曹司が殺害された事件。事件発生時に一緒に別荘にいた友人三人の犯行は否定され、外部犯の可能性も否定されてしまう。犯人がいない(!?)殺人事件を、店主の季と、元警官でパティシエ役の弟・智はどう解くか?(「第1話」)スイーツが彩る奇妙な三つの事件を、名探偵の兄弟が華麗に解決に導く。

2巻はどの話も犯人の装い方が違くて良かったです。

1話目は無自覚な精神が事件を招いていて、実際にもいそうなのが嫌ですね。

しっかり罰せられたら良いんだけど、泣き寝入りするケースが多いんだろうな…

2話目は犯人よりも被害者に目がいくシチュエーションでした。なぜ、被害を受けたのに、その行動をとるのか。周りを意識し過ぎて自分を殺してしまうのは勿体ない。自分を生かす行動をとろう。

3話目は小さな犯人?の勇気に拍手を送りたい。なぜかと思うだろうが、読んで確かめてほしい。

サイドストーリー的な人物の正体は驚いた。


どれもしっかり最後まで分からなかった。

読むと頭が柔らかくならますね。


弟が警察官を辞めた理由はそっちか〜となりました。理由を知ったらそれは仕方ないなと。

兄はもっと直ちゃんとイチャイチャしててほしいです。



キャラが立っていて、謎も深い。

続きが楽しみです。


透明人間は密室に潜む

透明人間は密室に潜む


表題作の破壊力よ。

(あらすじ)

透明人間による不可能犯罪計画。裁判員裁判×アイドルオタクの法廷ミステリ。録音された犯行現場の謎。クルーズ船内、イベントが進行する中での拉致監禁―。絢爛多彩、高密度。ミステリの快楽を詰め込んだ傑作集


表題作の透明人間は密室に潜むはかなり特殊な設定で事件が起きていて、予測不能なところが面白い。事件の背景もかなり練られていて、ただ珍しい設定というだけでなく、かなり本格でした。見事な結末でした。


アイドルオタクの裁判はかなり混沌としていましたが、推理は見事なのがおかしいくらいハマっているのが良い。落ちは笑うしかない。


耳が優れた人が事件現場の物音で真相を探ろうとするのはかなり難しいんじゃないかなと思ったが相方との相性が良くて、見事に事件の裏側を暴いていました。関係性が好きでした。


船の中で監禁されて抜け出すのは中々至難の技だと思ったが、唸るような方法や導き方で抜け出していて素晴らしかった。また、それも計算の内というのが恐ろしい。


どの話も謎だけでなく登場人物も癖になるような人ばかりで、話を読むのが捗りました。

ノンシリーズなのがもったいないくらいでした。

全てが濃い話、ミステリー。そのおかげでどれも印象に残りやすかったです。


ミステリーを良く読む人、読まない人、どの人が読んでも楽しめる豪快さがあったように思います。


物理的に孤立している俺の高校生活8

物理的に孤立している俺の高校生活 (8) (ガガガ文庫 も 3-18)


もどかしい恋愛事情が苦しい…

(あらすじ)

残念系異能力者たちは【好き】を考える。 
クリスマスイベントを終え、高校二年、冬休みに入った。 
イルミネーション広場で見た高鷲のココロオープンに考えを揺らされながら迎えた新年。俺はみんなと行った初詣で愛河への想いをより一層強くする。 
だが、全員が幸せになれる選択肢なんて、どれだけ存在するんだ? 全員が幸せになれないといって、誰か一人以外は幸せになれる選択肢があった場合、それを選んでもいいんだろうか。 
高鷲や先輩からの後押しを背に、俺は愛河に想いを伝えるため、デートに誘う――青春未満ラブコメ、クライマックス間近の第8弾。 


いよいよクライマックスが近づいてきて、恋愛について触れる。

異能力という設定がここにきて活きてくるのかと。

素直にいかない恋愛事情が読んでいてもどかしいです。

業平、えんじゅ、愛河が自分の気持ちに正直になれないというのが苦しい。

異能で繋がった仲だけに異能のせいで片付けられない。

異能に振り回されて、素直になれない三者三様の揺れ動く心にどうか救いを。

エリアスも辛いけど頑張った。


えんじゅと愛河はこのままだと自分を殺してしまうし、業平は気持ちの行き場を無くしてしまう。

どうか幸せな結末を迎えてほしい。

どう決着するのか想像が出来ないが、泣いても笑っても次巻が最終巻。

みんなが前を向けるものだったら良いなと思います。



犬はどこだ

犬はどこだ (創元推理文庫)


ただの軽い依頼からとんでもないとこへ着地するミステリー。

(あらすじ)

開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。

米澤先生の作品の中で印象に残る作品の一つです。

調査事務所としての初めてのお仕事がこんなにも大変なことになるとは。

最初は軽い気持ちで読める調査かと思ったが、情報を集めていくにつれて暗雲が立ち込めてきて、隠された殺意が湧き出てくるの凄い。伏線の貼り方と集め方が上手。思ってもいないところが繋がっていくのが読んでて驚くしかないです。


失踪者探しと古文書の解読という、離れた依頼がまさか繋がっていく過程が良い。


ネットの怖さや危うさがありましたし、ネットで繋がることで良い関係を築くこともあるのが示されていました。


主人公が最後に見せた姿はやむを得ないかなと思います。現実で犯人と対峙して啖呵切れるのは中々いない。リアルな反応だったと思います。

そのリアルの重みが尾を引き、不穏な幕引きになりました。


話を読み終えても残るしこりがたまらなく好きです。


キャラクターもみんな親しみやすくて、物語に入りやすかったです。


出来れば続きが読みたいです…


竜と祭礼2 ー伝承する魔女ー

竜と祭礼2 ―伝承する魔女― (GA文庫)


最高の読み心地でした。

(あらすじ)

おまえは初めて作った杖を憶えているか。 
王都の護りの要「杖壁」が何者かに解かれた。魔法杖職人見習いであるイクスは、姉弟子のラユマタに半ば押し付けられるかたちでその犯人の調査に臨むことになる。 
調査の協力者は、竜の杖を持つユーイと同級生のノバ。わずかな手がかりをもとに調査を進めていくうちに、3人はとある村にたどりつく。 
その村で自らの出生を知るイクス。「善い」杖を携え、生き方に迷うユーイ。そして、村外れの森に住むという不死の魔女。各者の思惑が交錯するなか、村の収穫祭で明かされる真実とは……。 
竜が消えても、物語は続く。竜の魔法が残されたこの世界で――。杖職人たちの物語、待望の第2弾。 


1巻に比べて、目標が地味だったのはありますが、それでも次へ次へと読み進めたくなる魅力がありました。


旅をしていき、ひもずる式に情報が明かされていくのが楽しいですね。

目的だけでなく、イクスの掘り下げやユーイの変化なども読めて良かったです。


魔女の伝承についてはなんとも惹きつけられるエピソードでした。

魔女のあり方には驚きましたが、続いていく仕組みにはなぜかしっくりきました。



物語の展開の仕方が派手ではないですが、厚みのあるのが凄いですね。


もっと読みたくなりました。