羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

高校事変 II

高校事変 II (角川文庫)

 

今回はJKデリヘルをテーマにしていて、社会風刺に遠慮なく突っ込んでいく姿勢がハラハラしつつもスッキリする読後感でした。

警察の知識も豊富で、へぇーとなることが多数でした。

 

1巻同様、また女性が被害に遭うのかとげんなりしたくもなるが、悪い奴らは結衣に報いを受けさせられるので爽快な退場なのは良いこと。

結衣の殺しの技術にはやはり呑まれるものがあります。

どいつもこいつもゲスくて、胸糞悪くなるが、そういう奴らが結衣の本心に気づくという皮肉。

 

女子高生も安易に大人の世界に手を出さないで欲しいなと。結衣の殺しを楽しみにしてしまう時点で、自分も毒されているな。

結衣がいつまで、自分の行いを隠して続けることが出来るのか。

 

結衣が少しだけ変わっているが、今後どうなっていくのか興味が尽きません。

 

世間を震撼させた「武蔵小杉高校事変」から2か月―平成最悪のテロリストの次女・優莉結衣は新たな場所で高校生活を送っていた。そんな中、結衣と同じ養護施設に暮らす奈々未が行方不明に。さらに、多数の女子高生が失踪していたことも判明する。結衣は奈々未の妹に懇願され調査に乗り出すが、JKビジネスや“特権階級”の存在など、日本社会の「闇」の数々が浮かび上がってくる。問題作ダークヒロインシリーズ第2弾!

家族シアター 文庫

家族シアター (講談社文庫)

 

家族小説。読み終えたら、向き合える家族と一緒にいるのは良いなと思いました。

今作は家族間の距離が近いからこそぶつかり合ってしまう模様を描いている。

一緒に住んでいるからこそ、分からなくなってしまう。

そんな状況から脱していくのが気になって仕方なかったです。

 

ただ暖かいアットホームの話ではなく、喧嘩したり、後悔したりする様子を心理描写を描いているので、各話惹きこまれていくこと。

どの話も魅力的で甲乙つけがたいです。

 

関係が壊れる前に相手の良いところに気づくというのは大切ですね。

 

始まりは不穏でも、終わってみては救われるのはとても良いです。

 

息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。

真面目な姉を鬱陶しく思う妹。
趣味で反発し合う姉と弟。
うまく息子と話せない父。
娘の考えていることが理解できない母……

あなたの家族もこの中に。家族を描く、心温まる全7編。

恋する寄生虫

恋する寄生虫 (メディアワークス文庫)

 

映画観たら、原作に戻りたいと思い再々読しました。

もう3度目になると驚きとかはないですが、高坂と佐薙が虫の存在が間に挟まっているとはいえ、世間に馴染めないという共通点や気が合うという相性の良さから仲を深めて、落ちていくのは美しいとすら思います。

 

生きづらさを抱えていた高坂と佐薙は寄生虫に振り回されながらも自分の気持ちと向き合える、この物語が至高である。

 

障害がなく、普通に戻れても。

隣に恋に落ちた人がいないと欠けた気がするという人の強情さとも言えるところは不器用に生きている高坂と佐薙の魅力でもありました。

 

自分の気持ちが作られたものか、本音なのか。

揺さぶられる心理描写が抜群に上手いです。

 

最後の落ちはその先を見たいと思うのが無粋になってしまうくらい、見事だったなと。

 

佐薙視点の物語が読みたいなと。

ほぼ、無いだろうけど。

 

 

これは、「虫」によってもたらされた、臆病者たちの恋の物語。

何から何までまともではなくて、
しかし、紛れもなくそれは恋だった。

「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」

失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。
しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを――。

結婚が前提のラブコメ5

結婚が前提のラブコメ 5 (ガガガ文庫)

 

婚活ラブコメもシリーズ大詰め。

前回幸せをたぐり寄せたまひるさんが婚約が決まってめでたい。

苦労している姿を見ていた分、感慨深い。

 

今回は牡丹ですが、彼女が抱えている問題や相手の男爵の気持ちが固まってなく、先行きが見えなかったですが、縁太郎が見事な機転をきかせて2人を導いた。

牡丹の考えと男爵の気持ちに寄り沿った縁太郎の仲介っぷりは見事でした。損なやり方かもしれないが、1人1人に時間を割いて向き合う縁太郎の仕事は大きな幸せを生みだしていました。

 

結婚するなら幸せになりたい。幸せの形はそれぞれで見つけていけば良い。

 

ブコメとして、婚活が軸なので付き合うを超えて結婚なので、喜びもひとしおですね。

 

次巻で最終巻ということで、縁太郎、結衣、カレン、残された3人の関係の行方はどうなるのか。

縁太郎の婚活相談所もどうなるのか気になります。

 

 

それぞれの結婚、それぞれの幸せ。

「牡丹と男爵の縁を結んでほしい」

――編集長の神代からの依頼をきっかけに、可能性を探しはじめた縁太郎。

しかし、牡丹にとって男爵は“ライバル”であり、どんなにいっても“お友達どまり”であると断言されてしまう。
うなだれ筆も進まない男爵に、編集部も焦りを募らせる。

アシスタント時代は仲がよかったというふたり。
デビュー後にすれちがってしまったことを知った縁太郎は、マンガを婚活に使うことを考えるが……?

熱き筆にのせて、かつての想いが鮮やかに蘇る!
大人気婚活ラブコメ、恋と青春の第5幕!

霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない

霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない (ガガガ文庫)

 

綾里けいし先生がガガガ文庫デビュー。

 

かみさまになれなかった藤花と見守る朔。

2人の特別な関係に惹きつけられる。

 

幻想的な描写と普段の日常の描写が良い感じに書き分けられていて、朔と藤花の関係性だったり、一緒にいる背景が想像しやすくなっていました。

 

2人の下に特殊な事件が舞い込んできて、それは常識から外れている状況。

ミステリー要素はほんのりあり、事件の中身やそこに至るまでの過程に驚かされました。

思いもよらない結末を迎える各話の余韻に浸るのが不思議と心地よい。

 

終盤に朔、藤花の秘密が明かされて、謎めいていた2人の事情には感情揺さぶられました。

縛られていた関係ではなく、互いに求め合う関係になれたので良かった。

 

上手く1冊にまとめられていたが、続いて欲しい。

 

 

その少女は「かみさま」のなりそこない――

藤咲藤花の元に訪れる奇妙な事件の捜査依頼。
それは「かみさま」になるはずだった少女にしか解けない、人の業が生み出す猟奇事件。

人の姿を持ちながら幽世のものに触れる異能をもつ彼女は、事件の解決に自分の居場所を求めて歩む。
そして、その隣には「かみさま」の従者として彼女を守る役目を負うはずだった青年・藤咲朔の姿が常にあった。

数奇な運命のもとに生まれ――そして本来の役割を失った二人は現世の狂気のなかで互いの存在意義を求め合う。
これは、夢現の狭間に揺れる一人の少女と、それを見守る従者の物語。

負けヒロインが多すぎる! 2

負けヒロインが多すぎる!2 (ガガガ文庫)

 

1巻ではコミカルに失恋模様を描いていたが、2巻では込み入った部分まで踏み込んでいて、引き締まる展開。

負けヒロインの失恋を軽いものではなく、しっかり大切に扱っていたのは作品にとって、大事な指針になると思います。

 

自分が好きな人に好きな人がいるというのは青春真っ只中の少女達には荷が重い。

檸檬が自分の好きな気持ちや相手への遠慮に苦しみ、迷ってしまってどう振舞えば良いのか分からなくなりそうになりながらも、きちんと失恋出来たのは温水や八奈見など周りの支えがあってこそで、終盤の展開は読み応えありました。

友情、恋愛、自分の感情と向き合って、行動していくのは難しい。だけど、乗り越えられていく檸檬の姿は魅力的でした。

 

次は八奈見の番か。

 

温水と八奈見の関係は完全にマンネリ夫婦みたいな感じになっているが、この2人が今の関係から動くことはあるのだろうか。

 

温水は人畜無害そうだが、心中では思うところがあって、地の文で良い味が出てるなぁと。

 

 

焼塩檸檬、まさかの略奪愛……!?

夏休み後半。
たまたま喫茶店でだべっていた俺と八奈見は、驚くべき光景を目にする。

焼塩と、その思い人である綾野が2人きりで会っていたのだ。
さらには、2人を尾行する綾野のカノジョ――“勝ちヒロイン”朝雲千早ともニアミスしてしまう。

「私は光希さんと焼塩さんの浮気を疑っています」

あれよあれよと巻きこまれた俺たちは、朝雲とともに真相を探ることに。

焼塩にかぎってそんなことはと思う。
でも、2人きりのときの、あの想いがにじんだ顔は――。

はやくも人気沸騰の負け確ラブコメ、待望の第2弾!

鴨乃橋ロンの禁断推理 4

鴨乃橋ロンの禁断推理 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

キャラクター性だけでなく、ミステリー作品として良いから有栖川有栖先生が推薦していても不思議ではない。

衝撃がある推理パートも目立って良いですが、そこに至るまでのフェアな謎解きが手堅くて、雑にならない解決方法が素晴らしいです。

 

ロンの血筋とはいったい。

ロンを狙うM家の目的とは。

未知な部分ですが、徐々に情報が明らかになっていき、ロンがM家を突き止めていくのが楽しみです。

 

もふ先生は癒しです。

 

 

シュピッツの兄を探すため夜蛇村を訪れたロンとトト。村にはダム開発を進める役人も滞在していたが部屋から消え、変死体で発見される。消失の力を持つ「夜蛇神様」を信仰する村人達は、夜蛇神様のお怒りに触れたせいだと言うが…不可解な消失と殺人事件の真相は!? 訳あり探偵とピュアな迷刑事の異色コンビが事件に挑む、探偵活劇第4巻!!