羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

キャラ・ライト文芸

化物語(下)

下巻は血だらけじゃない阿良々木暦。 撫子の件では人を呪わば穴二つという言葉が刺さる。神原はムードメーカーだけではなく気を遣ったり、活を入れられるのは意外。 阿良々木が助ける対象をわきまえず、誰でも助けようとするのは危うすぎる。 撫子の怪異の件…

怪物のゆりかご

前作が好きだった人は安心して読んで欲しい。面白さが落ちず、むしろ良くなっているのではないかと思うくらい、のめりこめました。 衝撃度は前作程ではないが全体的に見れば、こちらの方がという感じです。 イジメが題材になっていたり、人が人を見るものさ…

ちぎれた鎖と光の切れ端

デビュー作が良かったので今作も楽しみにしてました。物語運びが巧みで、グイグイ惹きつける設定、シチュエーションを見せるのが上手い。 ただ、作品の構成が非常に良いが、テーマがちょっと古臭く感じてしまったのが惜しまれる。目には目を歯には歯を。復讐…

琥珀の夏

分厚い作品だったので覚悟していたが、重たい内容だった。 宗教が絡むとややこしくなるが、今作もそう。子供はいつも親、大人に振り回されるのだなと。翻弄されて、苦しんだ少女の時が再び動き出す様子までをじっくり追っていって、読むのを辞められなかった…

化物語(上)

物語シリーズの始まり。 アニメ再放送見たら読みたくなりました。阿良々木暦が怪異に苦しむヒロイン達を救っていく。1話1話潜んでいる怪異、ヒロインの背景に息苦しくなる切実さがある。 ただ、会話がユーモア溢れていて、展開も上手い。これは流行るよなと…

あの子の殺人計画

うわぁ。騙された。こんな風に複雑な構造になっているとは… 社会的問題を孕んだシリーズで、虐待の問題を取り上げていました。虐待を受けていた子供はそれが当たり前だから虐待だと思わないのは辛い。虐待を受けているという認識がないと、助けてを言えない…

草原のサーカス

彩瀬まる先生の作品は読んでいて心すり減るけど得られる感情があるから読みたくなるんだよな。 読んでいて、正しくあるのと良い行いは会社や環境次第では成り立たないのだなと。噛み合わない考えと在り方に、胸が苦しくなる。なんでこうなってしまうだと嫌に…

君を描けば嘘になる

綾崎隼先生の作品は気になってましたが、もっと早くに読めば良かった! 今作が初作品としては文句なしの名作でした。 才能、芸術、一概には説明出来ないものを追求していくと迷ってしまう。それでも、自分の芯に眠る創作意欲を忘れてなければ大丈夫。 ただ、…

ヴァンプドッグは叫ばない

うわー、そう来るか!と驚かされる1冊。というかマリア&漣シリーズは毎回そう。 今回は現代設定で吸血鬼が登場してきて、いるわけないのに状況設定からいるとしか思えなくなってしまう。摩訶不思議な殺人、脱走した殺人鬼、緊迫感ある展開で最後の最後まで…

きのうのオレンジ

生きてるって凄いこと。大人になってからつくづく思います。病気や怪我なく過ごせる日々は当たり前ではないのを再確認出来る1冊でした。 普通生きてるうちは気づかない、当たり前の日々のありがたさよ。 ガンにかかった主人公当人と周りの人の掘り下げがあり…

コンビニ兄弟3:―テンダネス門司港こがね村店―

悩める大人に寄り添う物語。第3巻。久しぶりだけど、スッと物語に入れるの良いね。 町田その子先生の作品の中でも屈指の良さが詰まっているシリーズだと思う。良い具合に砕けているが、シリアスさも兼ねている。緩急が非常に良い。 個性に迷うアイドルや専業…

さよならの言い方なんて知らない。8

注目のシリーズ。 物語は終盤に向かっているが、最初から計算されていた展開だとすれば恐ろしいな。 架見崎という街の裏にある事情について、徐々に明らかになるにつれて幸せな終わりが見えそうにないが、香屋なら期待してしまう。気弱だけど頭が回り度胸も…

わたしの幸せな結婚 二

美世と清霞の結婚生活は波瀾万丈だな。 始まりから、一悶着あったが今回も波乱な出来事が起きる。 隠されていた美世の異能のエピソードや美世周りの事情が明らかになり、美世も清霞も揺れる。1巻で含みをもたしていたが、美世が持つ異能は強力で、それゆえに…

後宮の毒華 夏炎の幽妃

シリーズ作品をよく書いてる作家だからか、展開や物語の膨らみ方が上手いなと。スムーズに読める。 蘭が今回は変装になれてきて、落ち着いてきた感がありましたがひやっとする場面があって危うい。変装がバレるのが先か。それとも姉が戻るのか先か。どっちに…

ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IX 人の死なないミステリ

出版の裏側を暴いていく今シリーズ。 今回は人の死で感動を生む作品が業界で流行らせた件については、嫌気がさしてました。売れて、数字が出れば出版社的にはウハウハだろうが小説としての価値はどうなのかというところ。 反対に人の死なないミステリは好き…

焔【ほむら】と雪【ゆき】 京都探偵物語

大正時代、その時代の背景に乗っ取った男女の関係、人と人の関係を利用したミステリでした。各話の余韻がまた苦い。 現場に出向く探偵鯉城と病弱ゆえに安楽椅子探偵露木。2人の関係は簡単に説明出来るものではない。なんとも感情揺さぶられる関係性。短編形…

転職の魔王様2.0

ドラマ化されて、続編が決まるなんて嬉しい限りです。楽しんでます。 今回、魔王様がいれば天使様もいるよねと。 細やかで優しい天使様、厳しいけどその人のための魔王様。キャリアアドバイザーとしてのスタンスが違うので、どっちが正解とかはないが、厳し…

飛び立つ君の背を見上げる

中川夏紀を語り手にして、北宇治の吹奏楽部時代を振り返らせるのは上手いなと。 俯瞰している彼女だからこその視点で物事を捉えていて、人は一面だけでなく、様々な顔を持つのが分かる。 そして、中川夏紀の目が見る世界は複雑だなと。フラットな彼女が高校…

アンと愛情

めちゃくちゃ良かった〜! 大好きなシリーズです。アンちゃんが順調に成長しているのが分かるが、壁にもぶち当たる。だけど乗り越えていく姿勢が魅力的です。 和菓子のネタやデパートの不思議を混ぜて、人の思い込みや言葉の良さと難しさを表していて、勉強…

十戒

わー、重たい。 方舟に似た表紙と漢字2文字タイトルから予想していたが、最後が良いね。 だが、方舟で衝撃を受けていたからこそ、かなり注意して読み進めた。おかげで最後の衝撃は予想出来た。こればっかりは仕方ない。読みながら、あれやこれやと想像を巡ら…

ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介

服を見れば、その人の状態を把握することが出来る名探偵登場。服の皺や状態から推測してズバリ当てるのは珍しく、頼もしい。設定が気になって読みましたが、驚きました。ガッツリミステリでした。 最初は軽いミステリかなと思ってましたが、事件を追っていく…

サクラサク、サクラチル

辻堂先生の作品は構成と登場人物の掘り下げが上手くて、没頭して読んでしまいます。 今作は東大受験、ネグレクトで苦しめられている2人を描いていました。 読んでいて、東大受験ってサスペンスみたいだなと思いました笑 難関大学だからこそ課せられるものが…

わたしの幸せな結婚

アニメを見ていて、我慢できずに原作に手を出しました。アニメとしてあまりにも良すぎて、小説で細かく知りたくなりました。 美世が不遇な扱いすぎて、感情移入してしまいます。辛い目に遭いすぎて、ふさぎがちになっている彼女が清霞と出会い、落ち着く環境…

昨日星を探した言い訳

河野裕先生の作品で1番好きだ! もう3読目だけど、それでも心に響く言葉がある。 何度読んでも彼と彼女の意地の張り合いに頬が緩む。互いに違う星に住んでいるように、遠回りしながらも徐々に近づいていく距離感に釘づけにされてしまいます。 そんなことかと…

教室のゴルディロックスゾーン

学生時代の葛藤や苦しみ、孤独を上手く描いた。重たくなり過ぎず、でもしっかり登場人物の内面を見せていて読んでいて、一人一人に寄り添いたくなりました。 女子中学生の複雑な関係、心理を突いていて、モヤモヤする。だけど、すっきり霧が晴れるような出口…

可燃物

ミステリのアンソロジーで収録されていた一編は読んでいたがゆえに、楽しみにしてました。 米澤穂信先生の警察ミステリが初めてなのは意外というか、作風の幅の広さを感じられる作品でもあります。 孤独の刑事が事件の真相に至るまで、思考を深めていく。周…

アミュレット・ホテル

作者のミステリ作品が好きなので、今作も読みました。 犯罪者向けに営業するホテルで起きる事件。ホテル内のルールを守っている間は何も関与しないが、ルールを守るものには容赦ない。面白い設定で、楽しめました。 ホテル探偵の背景やホテルのあり方も描写…

ぎょらん

死は避けられない。それが分かっていても後悔は残る。そんな気持ちをどうにか抑えるためにぎょらんは生まれたのか。 人は生きていたら色々ある。 辛いことや後悔は残ることはあるだろうが、生きているなら避けられない。そことどう向き合っていくか。 各話に…

馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow

新たなシリーズで、あらすじから興味が湧き読んでみました。 Xシリーズの続きみたいだが、楽しめました。 ホームレスの青年の調査に疑問が多く付き纏っていて、一体どういうことだろうと気になる物語でした。 今作は社会に属する人、属さない人の間には果て…

アンデッドガール・マーダーファルス 4

アニメ放送中なので、合わせてきたのかなと思いましたが作者いわく元から描く予定だったということ。 各キャラの前日譚が詰まっている1冊。津軽、静句、鴉夜のそれぞれの出生が描かれていて、これを読むとよりアンファルが好きになります。軽い雰囲気で旅を…