今慈ムジナ先生の新作。
デビュー作のふあゆのように趣味に走ったような作風なんですが、どこか寂しげな空気に包まれていて、まさしく平成という時代の終わりを前にして生まれた物語でした。人が幻想を求めなくなった時代の終わりに魅せる怪異譚。これは終わるために生まれてきた。怪異になっていく人達は誰も彼もが必死に生きようとしてる人ばかりだから、解放されるのは悲しいようだけど、爽やかな気分になります。
そして、主人公・夏野幽は分かっている、自分の末路を。それでも前に困ってる人が助けたいと思い、動く優しい子で、そんな彼がいたからこの作品は成り立つ。それは忘れてはいけない。
他には、椿姫と流という仲間がいる。二人は家に縛られながら自分を律している。そんな二人は幽と一緒にいると安らいでいるようで良い気持ちになる。
実にやりたい放題ながらも1本筋が通っている物語で、好きでした。
また、続きが生まれることを祈ってます。