羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

言葉が形になるまで さよならが言えるその日まで

さよならが言えるその日まで


表紙の雰囲気が良いことやあらすじから家族の物語だと思い、読みました。

読んだ後に家族の形について考えたくなりました。

(あらすじ)

静岡県沼津市で交通事故が発生、運転していた小学校教諭の森遠謙介が死亡した。一人娘の伊緒が悲嘆にくれる中、驚愕の事実が判明する。事故発生日の未明から、謙介の教え子である恩田六助の行方がわからなくなっていたが、その痕跡が車内から発見されたという。お前の父親は誘拐犯だ。周囲からの非難、マスコミの追及、警察の圧迫―。折れそうな心を奮い立たせ、真実を知るため、伊緒は六助を捜し始める。


読んでいて、わりと最初のうちに作品の大体の落ちが予想が立てられますが、そこが大事ではなくて、どのようにして主人公の伊緒が真実にたどり着くのかが重要だと思います。

前を向いて歩いていく、伊緒が様々な困難に遭い、苦しむことになっても父の無実を証明しようと動く姿勢が眩しくて、最後までハラハラして読めました。


誘拐されたとなっている少年の六助も逃げながら、自身の痛みを受け止めていくのはなんだか、大切な過程だと思いました。


伊緒と六助が共に行動してた大人が優し過ぎたが、そこまで非常な展開にならない要素だったと思います。困ったときは頼れる大人のもとに行くと良いですね。


伊緒の父が考えていたことがはっきりした最後には暖かい気持ちになれました。


家族の歪みを描いていたからこそ、救いのある終わり方で本当に良かったと感じました。



家族の形は多種多様ですね。