羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

犬はどこだ

犬はどこだ (創元推理文庫)


ただの軽い依頼からとんでもないとこへ着地するミステリー。

(あらすじ)

開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。

米澤先生の作品の中で印象に残る作品の一つです。

調査事務所としての初めてのお仕事がこんなにも大変なことになるとは。

最初は軽い気持ちで読める調査かと思ったが、情報を集めていくにつれて暗雲が立ち込めてきて、隠された殺意が湧き出てくるの凄い。伏線の貼り方と集め方が上手。思ってもいないところが繋がっていくのが読んでて驚くしかないです。


失踪者探しと古文書の解読という、離れた依頼がまさか繋がっていく過程が良い。


ネットの怖さや危うさがありましたし、ネットで繋がることで良い関係を築くこともあるのが示されていました。


主人公が最後に見せた姿はやむを得ないかなと思います。現実で犯人と対峙して啖呵切れるのは中々いない。リアルな反応だったと思います。

そのリアルの重みが尾を引き、不穏な幕引きになりました。


話を読み終えても残るしこりがたまらなく好きです。


キャラクターもみんな親しみやすくて、物語に入りやすかったです。


出来れば続きが読みたいです…