佐野徹夜先生の傷が見えるような。
(あらすじ)
『君は月夜に光り輝く』著者による “純度100%"の青春小説。
僕は、死にかけると未来を見ることができる。校内放送のCreepを聴きながら、屋上のドアノブで首を吊ってナンバーズの数字を見ようとしていた昼休み、親友の天ヶ瀬が世界を壊す未来を見た。彼の顔を見ると、僕は胸が苦しい。だから、どうしても助けたいと思った――。いじめ、虐待、愛する人の喪失……。死にたいけれども死ねない僕らが、痛みと悲しみを乗り越えて「青春」を終わらせる物語。
生きづらさを抱えるすべての人へ――。
生まれてきて苦しい思いを抱えている、間中、青木、天ヶ瀬が現実とぶつかり苦しみながら悩む様子が濃密に描かれていて、痛みが文章越しに伝わってくるようだった。
この作品は間中が主人公だから、彼の痛みが優先されているように思うが、青木、天ヶ瀬の視点も読みたかったなと思いました。
特に青木に関してはもう少し踏み込みが欲しかった。
死にかけるたびに、未来視、洗脳、憑依が使えて、なぜ彼らにそれが必要なのかと考えましたが、僕としてはその不思議な力がないと三人は生き続けられなかったし、現実と戦えなかったからかなと思いました。
生々しい描写がありますが、生を放棄し死を望む間中達が光を掴むまで見届けてほしいです。
最後はどう着地するのかと思ったら、まっすぐだったのは驚きました。もっとぐちゃぐちゃな終わりかと読んでるときは予想してましたが、裏切られました。
相変わらず、目を釘付けにする文章と展開でした。