表紙から泣かせる内容だと思ってましたが、じわじわと来ました。
(あらすじ)
通り雨が過ぎて虹が出た昼休み、高校二年の百瀬太郎は同学年の美園玲と運命的に出会う。美少女なのにクラスメイトとどこか距離を置いているクールな玲に、なぜか百瀬はなつかれる。幼少期のトラウマで「嫌だ」と言えない性格も手伝って、百瀬は強引に文化祭の準備を手伝わされる羽目になり、「ある作戦」を実行するため奔走するうち、二人の気持ちは近づいていく。そんな時、逃れられない過酷な出来事が二人を襲う。感動、切なさ、悲哀、そして愛しさ…温かな涙が溢れる、究極の恋愛小説。
嫌だと人の頼みを断れない主人公の百瀬が堂々と生きている美園と出会うことで、変わっていく日々。
最初は百瀬と美園の明るい青春と見せておいて、様々なところにあった美園の行動と台詞の真の意味が分かったらガラッと見えていた景色が変わるのは巧みでした。
分かりやすいとはいえ、日々の会話や関係の積み重ねを描き、美園の必死な想いを読んでいくとじわじわと胸に苦しくも暖かくなる感情が湧いてきました。
腕に書いた電話番号については悶絶必死の鍵になっていました。
人はいつ死ぬかわからないから毎日を必死に生きる。大事なことだけど、自分がいざそういう立場にならないと気づけない。
美園はもっともっとやりたいことがあっただろうが、やさしい死神と出会い、自らが幸せだと思う生き方で過ごせたので幸せだったんじゃないか。
百瀬は美園と過ごした日々に残っている考え方や言葉が頭にいつまでも残ってるだろうから、これからの彼が周りの世界に踏み出せる未来が見えるような終わりには感動しました。
素晴らしい青春小説でした。