羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

空想クラブ

空想クラブ

 

逸木先生の作品は文庫化された作品を読んでましたが、今作はあらすじに惹かれて単行本で読みました。

今までの作品とは違いファンタジー要素が強めだったが、器用に作品の魅力に繋がっていたので良かったです。

空想が好きな主人公・吉見や周りのメンバーを引っ張っていた真夜が亡くなる。

だが、吉見には見えている。まだ、真夜は消えていない。

数年宙ぶらりんで繋ぎ合わせていたものを再び手繰り寄せるために吉見は動く。

バラバラになっていた空想メンバー達が再会するにあたり当時から変化していて、すんなりとはいかずに当事者が抱えている悩みを吉見と真夜が向かい合って、分かり合っていくのはまさに青春でした。

そして、なぜ真夜が死んだのか。

足や頭を使い奔走しながら掴んだ真実は明るいものではなかった。

ままならない現実を嘆きたくなるが、それでも吉見が真夜に託した光が希望となり、みんなが救われていくのは素晴らしかったです。

 

青春、ミステリー、ファンタジー、詰め込むだけ詰め込まれていて、面白かったです。

誰にだって、想像する自由はある。

未来だって、作れるのかもしれないと思いました。

 

(あらすじ)

ラスト16ページの「奇跡」を、あなたは体験する。青春ミステリの最新形。 

吉見駿は空想好きな中学生。祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。小学生のときの親友・真夜の葬儀の帰り道、駿は河川敷で幽霊となった彼女に再会する。川で溺死した真夜は、死の瞬間の謎のために河川敷の、半径二十メートルの範囲に捕らわれてしまったという。塾からの帰宅途中、河川敷を自転車で走っていた真夜は川の方から「助けて!」という叫び声を耳にした。少女が溺れていることに気付いた彼女が川に入ったそのとき、木の枝を踏んだような音と共に意識を失ったという。「能力」のためか、自分だけが真夜の姿を見ることができると知った駿は、仲間と共に彼女の死の真相を探っていく。溺れていた少女を捜していくなかで、町の不良・郷原の関わりが見えてくるが……。