住野よる先生の作品は今まで一通り読んでるが、恋愛は初めてだな。
ただ、素直に恋愛モノと括るには軽いし、そうではないとも思う。
言うなら恋愛感情そのものを描いていたような気がしました。
主人公・カヤが人生に退屈しているときに出会ったチカという謎の少女。
同じ時代を生きていない2人が徐々に近づいていき、距離を縮めていく。
しかし、紆余曲折あり少しのかけ違いで離れ離れになってしまう。
あまりにカヤは自分のことしか考えてないのかがはっきりする。
もう会えない状況でもチカとの日々は忘れずに大切な想い出として残っているが、人生には希望を見いだせないままふらふらしていく。
人生が退屈なときに不思議な出会いをした人を特別だと思いたがるのも無理はないが、極端な考えだなと思っていたら、学生時代の知り合い、斎藤と再会し事態は変わっていく。
まさかの叙述トリック…
分からなかった。
どんだけカヤは屈折してるんだと思ったが、斎藤ではない女性が気持ちをぶつけて遂に目を背けていたものを思い知ることが出来て良かった。
大切な想い出はいつまでも頭に残ってないということを。
最後の最後にカヤは人生についての考えや想い出などを清算していくが、消えないものもあるというのも救いがありました。
純粋に人生を歩むには不器用だったカヤが改めて前に進んでいけそうで良かったです。
(あらすじ)
住野よるが学生時代から敬愛するTHE BACK HORNと、作品の構想段階から打ち合わせを重ね、創作の過程も共有し、 双方向に影響を与え合うことで生み出された新しい形のコラボレーション作品『この気持ちもいつか忘れる』。小説にTHE BACK HORNのCDがついた先行限定版。
退屈な日常に飽き飽きしながら暮らす高校生のカヤ。平凡なクラスメイト達を内心で見下しながら、自分自身も同じくつまらない人間であることを自覚していた。そんなカヤが16歳の誕生日を迎えた直後、深夜のバス停で出会ったのは、爪と目だけしか見えない謎の少女だった。突然のあまりに思いがけない出会いに、動揺するカヤ。しかし、それは一度だけのことではなく、その後、カヤは少女・チカと交流を深めていく。どうやらチカはカヤとは異なる世界の住人らしい。二人の世界には不思議なシンクロがあり、チカとの出会いには何かしらの意味があるのではないかとカヤは思い始める。