「誰も死なないミステリーを君に」でぐんっと知名度を上げた井上悠宇先生の新作。
怪異の正体をミステリーの定石である5W1Wの法則を持って暴いていき、怪異の呪いを潰していく。
主人公・真守と幼馴染で霊能探偵・恋子が互いに協力していくが、2人の関係やかけ合い、空気間が心地よく、それだけでも楽しめるがそれだけではない。
今作は怪異というホラー、真守と恋子や登場人物達の青春の陽と陰、怪異を生んだわけや正体突き詰めていくミステリー、全ての要素が絡み合っていながら、どの要素の魅力を潰し合うことなく、活かしあっていて素晴らしい構成でした。
全てが繋がっていき、謎が解けていく様には唸ること間違いなしです。
怪異の裏に潜んでいた悪意や憎悪には肝が冷えましたが、読み終えた後には様々な感情が混ざり合っているが爽快さもあるし品もある、上質な作品でした。
登場人物の中で悪意を隠し持っていた人物が因果応報という形で終幕になっていて良かったです。真守が人の身でありながら人を裁くということを行い、苦しむが側に恋子がいるなら大丈夫だ。真守と恋子が互いに守り合っているので心配はいらないか。
シリーズ化して欲しいですね。
ホラーが苦手な人でも楽しめるようになっていますので今作を気になる人、気になっている人はぜひ読んでみてほしいです。
(あらすじ)
彼女の視界は謎に溢れている。彼女を救えるのは、謎が見えない僕だけ。
あなたは呪いの人形を受け取りました。
この人形を親友に渡さなければ、あなたは、次の友引の日に死んでしまいます。
あなたは、親友に、渡しますか?
僕の幼馴染、祀奇恋子(まつりぎ・こうこ)の視る世界は異常である。
彼女は謎(オカルト)を視て、怪異(ミステリ)を解き明かす霊能探偵だ。
ある時、僕たちの通う高校で生徒の連続自殺が起きた。そこには受け取った相手を呪い殺す「トモビキ人形」がかかわっているらしい。
親友から人形を渡された女子生徒の相談を受け、恋子は5W1Hを駆使して怪異を暴く、「除霊推理(オカルトトラッキング)」に挑むことを決める。
怖がりのくせに逃げない幼馴染を守るため、僕も助手として調査を始めるが――。