羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

AX アックス

AX アックス (角川文庫)

殺し屋シリーズ最新刊。

グラスホッパー、マリアビートルを読んだら今作を読むしかないってくらい好きなシリーズです。

作者いわくシリーズってわけではないそうですが、そう括られているので。

 

殺し屋の兜が恐妻家で、家庭でいかに平和に過ごそうと繊細に勉強しているのが一周回って笑えます。最初は笑い話でしたが、話を追っていくうちに生臭い世界を知っているからこそ、光である表の顔の父親という存在になろうとしていたんだと思うと胸が苦しくなります。

 

兜が妻との距離を測り、友達を作ろうとしたり、そして人を殺したり…

決して清廉潔白とは言いがたい生き方だが、それでも殺し屋を辞めて家族と過ごしたいと思う気持ちは否定出来るものではない。

そんな兜の最期は悲しくも心が暖かくなるもので、息子の克己が兜の意思を継いで一矢報いるのは美しい流れでした。

 

読み終えたら心に暖かい涙が流れました。

 

(あらすじ)

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り拓いた、エンタテインメント小説の最高峰!