作者の別作品を読み、気になる作家さんだなと思ってたら新作が出ていたので読みました。
率直にいうと辛さや痛みを感じつつ幸せに包まれる読後感でした。
辛い、痛い、というのは登場人物の綺麗な内面と汚い面が見事に描かれていたからだと思う。
主人公のみのりは突然父親を亡くして、村に引っ越すことになり、そこでは優しい怜と意地悪な隼人と出会い、様々なことを経験していき、成長していく。
その過程には辛いことの方が多かったが、周りの人の支えとなる微かな光に思える言葉はみのりを守ってくれる暖かさがありました。
最後まで読んだら、みのりが大人になるまで生き延びてくれて嬉しかったです。
みのりの成長だけではなく、ミステリー要素も明かされた時は衝撃を受けました。
怜と隼人周りの違和感、理不尽な出来事や村に潜む不可解な謎にはヒントがあり、それらが明かされていく終盤はまさに怒涛の展開で、飲み込まれました。
点が線となり、謎が真実へと繋がっていく流れは見事でした。
真実を知ったら序盤に感じた、見ていたものがひっくり返る構成には心底驚かされました。
作品に興味がある人や興味を持った人は是非読んで、今作の素晴らしさを知ってもらえたらと思います。
(あらすじ)
消えた向日葵。連続する不穏な事件――
そこにいるのは…誰?慟哭必至の青春ミステリ!
少年少女の成長と、ラストで明かされる真相に、慟哭必至の青春ミステリ!
父親が突然亡くなり、山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。
分校の同級生と心を通わせはじめた夏、集落の行事「向日葵流し」のために
植えられていた向日葵の花が、何者かによってすべて切り落とされる事件が起きる。
同級生たちは「あれは向日葵男のしわざだ」と噂するが、さらに不穏な出来事が続き……。
あざやかに季節がめぐる彼女の4年間と事件の行方を瑞々しい筆致で描く、
烈しくも切ない青春ミステリ。