羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

五色の殺人者

五色の殺人者

 

今年の鮎川哲也賞の受賞作品はどんなミステリーだと期待してたら見事に読者の隙を突くようなトリックと犯人の姿が目撃者によって違う色を指しているという魅力的な設定を上手く利用した力作でした!

 

介護施設で殺人が起きるので、犯人を見たのを覚えていられなかったり、見間違いが生じるので、そこが謎に繋がっていくのは唸りました。

語り手であるメイや他の人物達がニックネームで呼んでいたというのもキモになっていて、思わぬ勘違いへ誘導していて、やられました。

悔しい…

真面目に推理しながら読んでたが、思わぬところに落とし穴ががありましたが、フェアなミステリー小説になっているのは好感持てます。

 

主人公のメイや人物紹介、事件の背景などで中盤まで物語の流れがゆっくりなのは気になりましたが、メイの行き当たりばっかりなところや仕事熱心なところ、人柄が良くて、身近に感じられました。彼女の素人探偵っぷりには応援したくなりました。

 

解決シーンが短くあっという間に解決されているように感じましたが、肝心の真相についてはミステリーのロジックが完璧で驚きをもらいました。

 

これからの活躍を楽しみにしたい作家さんですね。

 

 

高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじみずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった!ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが…。不可能犯罪の真相は、切れ味鋭いロジックで鮮やかに明かされる!選考委員の満場一致で決定した、第30回鮎川哲也賞受賞作。