羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

記憶翻訳者 いつか光になる

記憶翻訳者 いつか光になる (創元SF文庫)

 

単行本の風牙を再構築した文庫版ということで気になって読みました。

単行本では読みづらいと思っていたところがありましたが、読みやすくなっていました。

オリジナルの話である、「いつか光になる」と「嵐の夜に」が辛くも暖かくなる内容で物語の構造をより深く掘り下げられたのではないかな。

オリジナルの2話を加えることでより、主人公の珊瑚が身近に感じられて、より彼女のことが好きになります。

 

他者の記憶に潜り込んで、その人が抱えているものを見つけだして悩みを解決していくのは苦しい仕事だが、達成したときの気持ちはかけがえのない気持ちになると思います。

各話捻られた落ちが待っていて、読み応えが抜群です。

 

SFを読み慣れてなくてもきっと楽しめる作品だと思います。

 

「ゴルディアスの結び目」≪サイコダイバー≫シリーズにつらなる、
記憶と人格をめぐるSFエンタテインメント。―長谷敏司(解説より)
依頼人の思いや葛藤が残る世界に
潜行する、それが記憶翻訳者。
第5回創元SF短編賞受賞作収録
単行本『風牙』を改題、文庫版オリジナル編集

人の記憶を取り出して他人にも理解できるように翻訳する技術が実用化された時代。その技術は特別な力を持ったインタープリタと呼ばれる人々によって実現されていた。珊瑚は優秀な若手インタープリタとして将来を嘱望され、さまざまな背景を持つ依頼人の記憶翻訳を手がけている。第5回創元SF短編賞受賞作「風牙」にはじまる連作短編集。文庫版オリジナル編集。