羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

吸血鬼に天国はない④

吸血鬼に天国はない(4) (電撃文庫)

 

今回はページ数は少なめだが甘い話でした。

なんだか久しぶりに落ち着いた日常の話が読めて良かったです。

シーモアとルーミーの2人は様々な経験を通して変化していたことを自覚して、それを互いに受け入れていくのは素敵でした。

遠回しな言葉や頭で噛み砕かないと分からない感情が掴めるようになってきて、より作品を好きになってきました。

相手が全てを受け止めてくれるがそのままで良いのか、自分自身はどうなりたいのか、シーモアの揺れは見事でした。

ルーミーもたしかに変わってきていて、最初の頃よりも親しみやすいです。

 

みんな成長していくんだな〜

 

今回シーモアの娘のサラが登場して、良い意味で砕けた雰囲気になってて読みやすかった。サラが抱えていた問題の解決方法があまりに呆気なくて笑ってしまいました。しかも、人間離れしたお話で人間だからとしか言えないようなもので、清々しかったです。

 

『死神』との戦いも乗り越えて、より一層の愛を深めたシーモアとルーミー。傍目にも仲睦まじく、なにより明るく素直に愛情を振りまくルーミーの姿は、出会った頃からの大きな変化を感じさせるものだった。そしてもう一つ、変化はあった。白昼を切り裂いた夜空と、日の中を飛んでいく吸血鬼。あの日、怪異が多くの人の目に留まった。そして世界の理の箍が外れたように、これまで隠されてきた無数の怪物たちが静かに蠢き出していく。そんな新しい日常。突如事件は起きる。「―パパ!会いにきたの!」自分とどこか似ている『娘』の登場に動揺を隠せないシーモア。否定しきれない彼の態度に、ルーミーの視線はどんどん険しくなっていく…!