羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

放課後の嘘つきたち

放課後の嘘つきたち (ハヤカワ文庫JA)

 

ガガガ文庫でジャナ研でデビューした作者の新作です。

 

タイトルにある通り、主人公・修、幼馴染・白瀬、皮肉屋・御堂、それぞれが後ろめたいものを抱えていて嘘をついている。

それは3人が協力して様々な事件を追っていくうちに明らかになっていく。

関わっていく事件の裏側には人間の負の一面が潜んでいて、そこも良い。

どの話も一筋縄にはいかない事情があり、それを解いて明かされるものが明るいはずはないから。

純粋な修と裏を読む御堂の個性も話が進んでいくうちに良いと思えてきます。

 

作風が人の感情の裏側を覗いていくミステリーで青春のキラキラというよりかはドロドロした感情を突いていくのが大半でしたが、自分の闇を受け止めて生きようとする姿、生き方は立派で頭に焼き付きました。

最後に互いの秘密を共有していった、3人の未来が良いものでありますようにと願いたくなる締めでした。

出来れば続きが読みたいです。

 

 

 

英印高校ボクシング部の寡黙なエース・蔵元修は、幼馴染で同級生の白瀬麻琴に誘われ、部活同士のトラブル解決を担う部活連絡会を手伝うことに。カンニング疑惑のある演劇部を探る修は、皮肉屋の部長・御堂慎司が黒幕だと推理するが……陸上部の幽霊騒動や映画研究会の不可解な作品改竄など、よく知るはずの放課後に潜む仄暗い謎と、その謎が呼び起こす修たち自身の噓――高校生たちの成長と再生を綴る青春ミステリ連作集