表紙が良いなと思ったらくっかさんのイラストで川谷さんがデザインをやっているんだったら納得です。
誰だって生きていればどうして生きているのか分からなくなることがあると思います。
今作はどうせ人は死ぬのに前向きに生きれるのか不思議で仕方ない鳴海と灯が必死に生きようとする物語。
雰囲気は重たくて、友の死や死体を損傷する殺人事件があるが、結局のところはそれらはおまけで、鳴海と灯がしっかり生きるということと向き合うことの大切さが描かれていました。
最初は灯がいけすかないやつだし、やったことは褒められるものではないが最終的に自分が目を背けていたことを受け止められたのではないかなと思います。
鳴海も分からなかったものが様々な出来事を通して学んでいけてよかった。
終盤の鳴海の動きは見事でした。
複雑な事情が絡みあっていましたが、最後に希望が見えたのは救いでした。
鳴海、灯が今までの自分と決別して、人生に希望を持つことが出来て良かったです。
「死んだらどうなるのかな、人って」親友の殉にそう聞かれた。俺は何も言えなかった。だって彼は、余命あと数ヵ月で死ぬ。翌朝、殉は子供を助けようと溺死した。謎の少女・灯は、これはトリックを用いた自殺だと告げ、俺に捜査を持ちかける。今なら分かる。灯との関係は恋じゃなかった。きっともっと切実だった。生きるために理由が必要な人に贈る、優しく厳しいミステリー。