羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

君が最後に遺した歌

君が最後に遺した歌 (メディアワークス文庫)

 

デビュー作の今夜、世界からこの恋が消えてもに感動しましたが、今作も心が震える純愛物語で目が潤みました。

 

設定の味付けが非常に上手い作家さんで、読み進める手が止まらないように仕向けられてます。勘違いするようなミスリードも含んでいてそれも展開の読めなさに繋がっていました。

主人公・春人とヒロイン・綾音の最初の出会い、2人で作る歌、好きだけど離れる辛さ、諦めきれない想い、ずっと一緒にいたい、要所要所に胸が締め付けられる苦しさがあり、そのたびに一喜一憂していて、どうか幸せになってくれと読んでいて祈るばかりでした。

周りの人の暖かさも2人の背中を押しているようで素敵でした。

 

出会うべくして出会った2人が行き着く最後には涙なしにはいられません。

綾音と春人の出会いが決して無駄ではなくて綾音がずっと生き続けるような終わりで素晴らしかったです。

タイトルの意味も良くて、良い余韻が残りました。

 

次回作を楽しみにしています。

 

 

田舎町で祖父母と三人暮らし。唯一の趣味である詩作にふけりながら、僕の一生は平凡なものになるはずだった。ところがある時、僕の秘かな趣味を知ったクラスメイトの遠坂綾音に「一緒に歌を作ってほしい」と頼まれたことで、その人生は一変する。“ある事情”から歌詞が書けない彼女に代わり、僕が詞を書き彼女が歌う。そうして四季を過ごす中で、僕は彼女からたくさんの宝物を受け取るのだが…。時を経ても遺り続ける、大切な宝物を綴った感動の物語。