羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

完パケ! 文庫

完パケ! (講談社文庫)

 

映画作りに熱を注ぐ青春物語で、ただ明るいだけではなく心の隅にこびりつく気持ちも掘っていて、感情が揺れるような作品でした。

主人公は2人いて、切実に映画に力を入れられる安原と器用で優秀な北川が手を組んで相乗効果を生んでいて良かったです。

最初は北川が監督で安原がサポートするのかと思いましたが、反対だったのは予想外でしたが読み進めていくと理由が分かります。

 

安原が切実に映画作りに命を削っていくのが怖いですが、なぜそこまでしがみつくのかが明かされて北川も覚悟を決めて動き出す終盤は胸が熱くなりました。

安原の母への気持ちを創作に繋げていくのはまさに業を歩んでいくが側に北川がいるなら大丈夫だと思える終わりで、明るく締められていたのはホッとしました。

 

 

たった一つのことにすべてを賭けた、あの輝かしい日々。

経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作のドラマ映画を撮れるのは、たった一人。感覚の安原と理性の北川。お互いの才能を認め合いながらも性格がまったく合わない二人は、同じ題材を使ってコンペで勝負をすることに。撮影は、前途多難の幕開けとなったが――。