羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

春待ち雑貨店 ぷらんたん 文庫

春待ち雑貨店 ぷらんたん (新潮文庫)

 

ぷらんたんという雑貨店を軸に回っていく短編集でまずは店主で主人公の巴瑠さんな掘り下げから始まったのが以外でした。わりと掘り下げられない作品が多い印象なので。

巴瑠さんが抱えている悩みは決して分かるとは言えないですが分かりたいと思いました。みんな出来ていることが出来ないのはとても辛いことですが、下向きにならずに常に自分を下げずに生きていこうとする姿は心強いです。

そんな巴瑠さんだから誰かの力になれるし、相談されるんだな。

 

登場人物達が迷って生きているが、自分の幸せを掴むために選択をして生きて行こうと前向きになっていくのは素晴らしかったです!

人の弱さや脆さを描いていたからこそ、1話1話が深く突き刺さってきました。

人の嫌な部分から決して目を逸らさずに向き合わせるのは残酷に思うが、しっかり自分と向き合っていく登場人物が幸せになってほしいです。

 

ミステリーとしても意を突くものがあり、楽しめました。

 

 

京都の小さな雑貨店「ぷらんたん」店主の北川巴瑠のもとには、手作りのアクセサリーが次々と謎を呼び込んでくる。
★とんぼ玉のイヤリングを、片方だけ、いくつも注文する不思議な女性客。彼女が抱えるある理由とは? (「ひとつ、ふたつ」)
遠距離恋愛中の女子大生・未久が彼から貰った不思議な文字が刻まれたネックレスには、ある真意が隠されていて……(「クローバー」)
★なかなか恋人との関係を深められない彼女は、レジンのバングルに大きな決意を込めていて……(「レジンの空」)
★新米作家の理香子が現れてから、なぜか順風満帆だった「ぷらんたん」の経営に危機が迫って……(「手作りの春」)
巴瑠は一つひとつに寄り添い、優しく答えを導いていくが、そんな彼女もまた、ある秘密を抱えて闘っていて――。
懸命に生きるすべての人へ、心に春を呼び込む癒しの連作ミステリー。