羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

キネマ探偵カレイドミステリー

キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)

 

作品をハイペースに生み出していく斜線堂先生のデビュー作ということで読むべきかなという気持ちで読みましたが強烈にビンタを食らったようなパンチの効いたミステリーでした。

映画が題材なのは知っていて、映画詳しくない自分でも話についていけるのかなと思いましたが杞憂でした。

知らない映画が謎に関係していたり、謎を解くのに映画の知識が鍵になっていましたが、全然問題なく物語に引き込まれていきました。

各話のトリックや解く過程が密でミステリーとして上質でした。

これがデビュー作なのか。

 

引きこもりの探偵・嗄井戸が大学教授の策で留年危機を迎えた奈緖崎と出会うことで、奈緒崎が持ってくる謎を嗄井戸が解いていくという流れで、2人が仲良くなったり喧嘩したりわちゃわちゃする空気がとても良かったです。

嗄井戸の引きこもりになる原因は重たくて胸糞悪いものがありましたが、あっさりバラしたからこそ胸に来るものがありました。

すれ違った2人が再び出会って、共に過ごせるようになった終盤はハラハラした分、安堵の気持ちが湧いてきました。

 

ここから嗄井戸と奈緒崎がどうなっていくのか。奈緒崎の留年危機はどうなるのか。束の背景はなんなのか。気になることが多々あるので続巻も読むことにします。

 

 

「休学中の秀才・嗄井戸高久を大学に連れ戻せ」留年の危機に瀕するダメ学生・奈緒崎は、教授から救済措置として提示された難題に挑んでいた。しかし、カフェと劇場と居酒屋の聖地・下北沢の自宅にひきこもり、映画鑑賞に没頭する彼の前に為すすべもなく…。そんななか起こった映画館『パラダイス座』をめぐる火事騒動と完璧なアリバイを持つ容疑者…。ところが、嗄井戸は家から一歩たりとも出ることなく、圧倒的な映画知識でそれを崩してみせ―。