羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

メグル 文庫

メグル

 

大学生の迷える悩みをアルバイトで消化していく流れに慣れてしまいそうだが、流れを変える話が出てきていて、飽きさせない構成になっていました。

各話に出てくる学生の悩みにあったアルバイトを紹介する悠木さんの人を見抜く目が素晴らしい。それぞれ、最初は悠木さんを疑いながらアルバイトするが、徐々にそれぞれの悩みに合ったアルバイトを経験することで、終えてみると殻を破るかのような成長していて素晴らしい読後感です。

ミステリーはスパイスで成長、変化がメインに据えられていて、各話に出てくる学生達が変わっていく様子に人情味が感じられて、心が洗われるような作品でした。一部を除いて。

 

表題作のメグルにもじんわりと心が暖かくなる話でした。謎に包まれていた悠木さんの謎も事情も少し見えて良かったです。

 

 

「あなたは行くべきよ。断らないでね」無表情ながら美しく、奇妙な迫力を持つH大学学生部の女性職員から、突然に声をかけられた学生たち。店舗商品の入れ替え作業や庭の手入れなど、簡単に思える仕事を、彼女が名指しで紹介してくるのはなぜだろう―。アルバイト先に足を運んだ学生たちに何がもたらされるのか、厄介事なのか、それとも奇蹟なのか?美しい余韻を残す連作集。