発売時から気になってはいたが、これまで読んでなかったことが悔やまれるくらい面白かった。
全体的にオシャレな雰囲気で肌に合っていて、好きな作品になりました。
主人公・蒼が同棲していたフォンが家を出て行ったことで、彼女を探しにいくというのが筋道で、物語が軽快に進んでいきながらも、寄り道しつつも本筋に繋がっていくのが気持ち良いです。
いったい、なぜフォンは消えてしまったのか?何の目的?と気になることが明らかになる終盤はこう来るかと夢中になりました。
また、蒼とフォンの関係も序盤はよく掴めなかったが、フォンの捜索を進めていくうちに浮きあがってきて、蒼自身も自身を省みるようになって、雲が晴れていくような結末で読後感は良かったです。
主人公の蒼の語りも愉快で楽しめました。キャラの掛け合いもテンポ良くて、ミステリーだけでなく人情モノとしても楽しめる作品でした。続きも読みます。
若くして評価を受けるも、すでに失業気味の画家・濱松蒼(はままつ・あお)。同棲していたフオンも「あなたの匂い(アロマ)が消えた」と言い残して家を出て行ってしまう。フオンを追いかけ二人の出身地・浜松に戻った蒼は、腐れ縁の友人でありアロマテラピストの小吹蘭都(おぶき・らんと)の住居に転がり込み、当座の仕事とフオンの行方を探す。だが蒼に持ち込まれるのは奇妙な依頼ばかりで……浜松まつり直前の故郷で、蒼は大切なものを取りもどすことができるのか?