羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

本と鍵の季節 文庫

本と鍵の季節 (集英社文庫)

 

単行本読んでいて2読目だが面白い。

図書委員の堀川と松倉が高校生らしくはしゃいだり無邪気さがありながらも苦い想いがする事件と向き合っていくミステリー。

知り合いからお願いを受けたり、2人の日常の延長からふと謎解きをすることになる短編集。

最初は学生らしい明るさがあるが真実に迫っていくうちに人の暗い部分が浮かびあがってくる対比が絶妙な加減なのが堪らなく良い。

結末がほろ苦くてビターな作風が好きな人はまずハマると思います。

話の前半、後半で認識していたことががらりと変わる様は見事としか言えない。

最初の913は日常から急に非日常へ飛び込んだ話でゾワっとしました。

 

人の善を信じようとする堀川と人の偽を見ようとしてしまう松倉の組み合わせは危うくハラハラするが、そこは堀川と松倉の関係も掘り下げられている話があるので希望を感じました。

 

ミステリーだけでなく、堀川と松倉の高校生にしては大人びた2人の、ベタベタするわけでも、あっさりした感じでもなく、だけど繋がっている関係性も見どころの青春要素がありました。

 

続編が出るのは決まっているようで、発売を楽しみに待ちたいです。

 

 

図書委員の男子コンビが挑む謎解きの物語

堀川次郎、高校二年で図書委員。不人気な図書室で同じ委員会の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、本には縁がなさそうだったが、話してみると快活でよく笑い、ほどよく皮肉屋のいいやつだ。彼と付き合うようになってから、なぜかおかしなことに関わることが増えた。開かずの金庫、テスト問題の窃盗、亡くなった先輩が読んだ最後の本──青春図書室ミステリー開幕!!