素晴らしい物語でした。印刷会社という本が出来上がるまでに欠かせない仕事をしている人達の矜持を感じました。本を作るのは作者や編集だけでないというのがよく伝わってきました。
自分はよく小説を読むが、作者、イラスト、レーベル、あらすじ、帯は気にするが本の後ろにある奥付けまで気にしてなかった。
気にされにくい人達が本を作る最終行程にいるというのはなんという皮肉。
だが働いている人達が、強い覚悟や誇りを持っていると知ることが出来て良かったです。
お仕事小説としても現実的に斜陽産業と言われ、逆境に立つ様々な人物が変わっていく姿も魅力的でした。
働くなら、本気で打ち込めるものが良いよね。
コロナ禍において、本は不要ではないという掌編もグッときます。本が好きな人は読んで損がないです。本は必需品という考えには大賛成です。本は紙派の人にとってはかなり刺さるものがありました。
本の奥付に載っている会社名の後ろには、悩みながらも自分の仕事に誇りを持ち、本を造る「人」たちがいる。豊澄印刷の営業・浦本も、日々トラブルに見舞われながら「印刷会社はメーカーだ」という矜持を持ち、本造りに携わる一人。本を愛する人たちの熱い支持を集めた物語が、特別掌編『本は必需品』を加え、待望の文庫化!