羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

リバーサイド・チルドレン 文庫

リバーサイド・チルドレン (創元推理文庫 M し)

 

叫びと祈りでガッツリ作者に心掴まれたので、次作のリバーサイド・チルドレンは楽しみにしてました。

今回も異国カンボジアを舞台にしていて、本筋とは離れた情報描写がうまくて頭の中で主人公達が過ごす風景が想像出来て、それだけでも心地よいです。

主人公・ミサキはとある理由で日本からカンボジアに流れて、そこに住むストリートチルドレンになることに。

その理由は切なくて胸が痛む。

しかし、貧困に苦しみながら強く生きようとしていく姿は惹かれました。リーダーのヴェニイの力強い生き方は周りを照らしていたんだろう。

様々な制約がありつつ安全に暮らす一般人に比べては自由ではなさそうだが、彼らの生活を追っていくと、自由の形は様々なんだなと思わされました。

苦しい姿をたくさん見ましたが、悲観することなく自由を求めて生きている姿は"人間"なんだよな。

 

 

一体真実は何なのか調べていくミサキの姿勢に胸を打たれました。真実は苦くて救いがないように見えましたが、最終的に前を向けるもので良かったです。

一体誰が犯人か絞っていくところはミステリーとして手堅くて、読む手が止まりませんでした。

 

全体的にミステリーとしても、ストリートチルドレンの生き様としても過不足なく詰まっているので非常に読み応えがありました。

 

 

第16回大藪春彦賞受賞作
動機不明の連続殺人。
少年が辿り着いたのは、あまりに異様な、
しかし胸を抉るような真相だった。
激賞されたデビュー作『叫びと祈り』に続く、鎮魂と再生の物語

カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息は、ある朝突然破られる――。彼らを襲う、動機不明の連続殺人。少年が苦悩の果てに辿り着いた、胸を抉る真相とは? デビュー作『叫びと祈り』で本屋大賞にノミネートされた大型新人が満を持して放ち、第16回大藪春彦賞を受賞した初長編、ついに文庫化。