羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

安達としまむら10

安達としまむら10 (電撃文庫)

 

もはや、時系列が飛んだり、戻ったりしても驚かなくなってきた。

安達としまむらの未来での家から出て同棲するまでの過程はじっくり読めて、互いにそうだよなぁと思うが、安達と安達母の微妙な距離感のせめぎ合いは切なくも未来に期待したくなりました。

安達母としまむら母の関係も貴重になってきていて、良いなー。

 

そして現在の安達としまむら

未来の安達としまむら、現在の安達としまむらを交互に見せてくると、先が分かっているとしても2人の感情の動きが気になって仕方ない。

安達としまむらが互いに影響を受けて、考えや行動が変わっていくというのも2人がしっかり向かい合っているからこそで、素晴らしい。

 

樽見しまむらの関係は自然消滅ではなく、しっかり決別をするのは意外な気もしたが、安達と出会った後のしまむらだからこそ出来たんだろう。

樽見の気持ちを思うと胸にずーんと来るものがありました。

 

それにしても、日野と長藤の熟練夫婦みたいな関係は安達としまむらに比べて安定している印象があったが、ここまでくると反転して、日野と長藤こそ心配になってきました。

 

 

まだ続くようで、楽しみです。

イラストは変わっても、なんだかんだピタっとハマる感じは編集さんとイラストレーターさんの腕の良さかな。

 

 

女子高生二人のちょっと変わった日常と、それからのお話。

私は明日、この家を出ていく。しまむらと一緒に暮らすために。私もしまむらも、大人になっていた。

「あーだち」
跳ね起きる。
「おぉでっ」
派手に後退した私を見て、しまむらが目を丸くした。両手をおどけるように上げる。下りて目にかかる髪を払いながら、左右を見回して、ああそうだと理解していく。マンションに移り住んだのだった。二人きりなのか、これからずっと。
「よ、よろしくお願いします」
「こっちもいっぱいお願いしちゃうので、覚悟しといてね」

私の世界はしまむらですべてが出来上がっていて、これからの未来になにも不安などないのだ。