羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

誰も死なないミステリーを君に

誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)

 

再々読ということで大筋は覚えていて、細かなところは抜けていたので、またまた楽しめました。(幸せ)

今作は読めば読むほど発見があって、味わえます。

何度読んでも美しい構成と台詞の数々に虜になっとしまいます。

 

現実で誰も死なないミステリーを作るのは綺麗事だ、嫌悪されそうだったりと困難なことかもしれないが、その信条を貫き通して実現したら立派だよ。小説でもありだと思う。

 

死が見える志緒と死を回避させる佐藤の関係性も好き。

佐藤のやさぐれていたり達観しているのには事情があるが、それでも心の声が愉快なときがあるのでタフだなぁ。友人のゴリラは良い動物だ笑

 

序盤のユーモア溢れる会話から中盤以降の誰も死なないように動くシリアスな展開は惹きつけられる。

最後に全てが頭の中で繋がる感覚は気持ちいい。

 

 

自殺、他殺、事故死など、寿命以外の“死”が見える志緒。彼女が悲しまぬよう、そんな死を回避させるのが僕の役目だった。ある日、志緒は秀桜高校文芸部の卒業生4人に同時に“死”の予兆を見た。“そして誰もいなくならない”ため、僕は4人を無人島に招待、安全なクローズド・サークルをつくった。だが、そこに高校時代の墜死事件が影を投げかけ、一人、また一人と―これは、二人にしかできない優しい世界の救い方。