羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

廃遊園地の殺人

廃遊園地の殺人

 

斜線堂有紀先生は作品を生み出す速さもさることながら、特殊な設定を用いて面白い作品を出すのが凄い。

今回はタイトルからして不気味で、何がやってくれるんじゃないかと予感しましたが、やはりタイトルに込められている通りでした。

 

プレオープンの遊園地で起きた銃乱射事件という衝撃的な事件から幕が上がる。

そして廃園となった遊園地で集めれた者達が宝探しに集まっていき、徐々に死が忍び寄ってくる事態に惹きつけられる。

明らかに各々が目的を隠していると思う怪しさ。

 

過去の事件の背景を間に挟みつつ、宝探しの最中に起きる不審な死と向き合っていくミステリーになっていて、どの人物が過去の銃乱射事件に関わっているのか考えたりして読むと展開を追っていくのに夢中になってました。

 

真相解明で明かされていく死の裏側や犯人の目的に驚き、遊園地で事件が起きた背景に潜んでいた現実を目の当たりにするのはなんとも言えない感情に包まれました。

 

また、主人公・眞上の掴みきれないキャラクター性が魅力でした。

彼の個性も、この作品に活きているように見えました。

 

物語が静かに幕が上がり、ひっそりと閉じられていくのが非常に好みでした。

ある種、感傷に浸れて良かったです。

 

プレオープン中に起きた銃乱射事件のため閉園に追い込まれたテーマパーク・イリュジオンランド。
廃墟コレクターの資産家・十嶋庵(としまいおり)はかつての夢の国を二十年ぶりに解き放つ。
狭き門をくぐり抜け、廃遊園地へと招かれた廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎(まがみえいたろう)を待っていたのは、『このイリュジオンランドは、宝を見つけたものに譲る』という十嶋からの伝言だった。
それぞれに因縁を抱えた招待客たちは宝探しをはじめるが、翌朝串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかる。
止まらない殺人、見つからない犯人、最後に真実を見つけ出すのは……

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