羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

探偵は教室にいない 文庫

探偵は教室にいない (創元推理文庫)

 

単行本が大好きで読み返したりしていた作品で、文庫化されるのは嬉しい。

しかも、単行本にはなかった作者のあとがきが入っている。

 

内容としては、中学生男女4人とひきこもり探偵が登場する青春日常ミステリー。

各話スポット当てられる子たちが話の終わりに自分の気持ちに気づき整理して、未来へ踏み出していくのが爽やかな読み応えになっている。

ちょっとした謎から、その子の抱えている感情を突いていくのは見事。

 

主人公・真史が根が優しい。しかし、時には暴走してしまう。心配になる子だが、不安定だからこそ、冷静なひきこもり探偵の歩が際立っている。

2人は幼なじみで、しばらく疎遠だったが、ちょっとしたきっかけで再び交流を持つことになる。

今後真史と歩の関係にも注目していきたいところです。

 

 

 

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校にはいって以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼――鳥飼歩(とりかいあゆむ)は、九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。第二十八回鮎川哲也賞受賞作。