羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

スロウハイツの神様(下)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

 

上巻からの気になる伏線を回収しつつ、怒涛の畳み掛けで感情がぐらぐら揺さぶらて、疲れるのに読む手が止まらなかった。

上巻で、ん?と思っていた部分や謎だったことも全てひっくるめて描き切っているので、これ以上ないくらいの幸福な締めだったと思います。

また、上下巻でスロウハイツの面々を掘り下げつつ、ストーリーに繋げているのは流石。

上下巻通して読んで見えた全貌は爽快ですらありました。

 

悩んだり、歩く道が分からなくなっても、スロウハイツに住む面々が前に進めるような形で良かったです。

スーちゃんはどうなることやらと思いましたが、よかったよかった。

環とコーキの秘密が明かされて、点と点が繋がって線になったときの2人の関係の儚さは素晴らしすぎる。

 

変わらないものはなく、変わり続けるのが正しいのだろう。

 

莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に百二十八通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った一人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った一つの荷物が彼らの時間を動かし始める。