凪良ゆう先生はその人が持つ悩みや感情をないがしろにせずに寄り添ってくれる作品を書く印象かあるが、今作も見事なまでに心をほぐしてもらいました。
流浪の月の次に好きな作品になりました。
登場人物達が背負っているものはそれぞれ違うけど、存在している。
それにどう向き合っていくのか読み進めていくうちに気になって仕方なかったです。
どの登場人物も順風満帆な生き方ではないかも知れないが、それでもあなたらしくて良いんだと背中を押してくれるありがたい小説でした。
ある意味、悩んでいる人に対して効きすぎるかもしれない。
自分にしかない悩みというのは厄介なもので、周りに理解してもらえず、ますます沼に落ちていくように感じてしまうだろうか、沼から引きずり出してくれるのも、また周りの人の場合もある。
悩めるだけ悩んで、相談して考えていけば良い。
ほどほどに生きていくというのは有り難いことなんだなと痛感しました。
小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。
百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。
三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。
地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。
悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくるが――