タイトルにインパクトがありますが、タイトル負けしない熱量がありました。
売れっ子俳優の双子の弟・尚斗が突然自殺して、世間に衝撃が走る。
兄・貴斗は尚斗がなぜ死んだのか分からず、尚斗のゆかりのある場所を巡って、彼が残したもの、感じていたことを辿る旅に出ていく。
最初に尚斗の死から始まり、喪失感が漂うなか進んでいき、世間は大きく騒ぐ。
貴斗や家族、周りの人達が尚斗の死を受け止めていくのは簡単ではなく、否定したくなる。
そこで、何をするのか。何を考えるのか。
試されているようでした。
貴斗は実の双子の兄ということで、受け止めるのは簡単ではなく、彼がもがき苦しみながら、答えを見つける旅を続けていき、最後に見つけ出した答えには胸を打たれました。
また、旅の途中で出会う出来事や感情が実を結ぶ最後に込み上げてくる気持ちは良いものでした。
幕引きもこの作品らしいなと。
重い雰囲気が多いが、それでも先を読みたいとなる物語の吸引力がありました。
世界の美しさを知るまえに、世界の汚さも知ることでより美しさが際立っているように見えました。
蓮見貴斗と尚斗は一卵性双生児。
弟の尚斗は人気俳優だったが、遺書も残さずに自殺した。
葬儀を終えて数日後に尚斗のスマホが見つかり、貴斗が電源を入れると顔認証を突破できてしまう。
未読メールには礼文島行きの航空券が届いていた。
自殺したのに、どうして旅行に行こうとしたのか。
その答えを知るために貴斗は旅立つ。
人気絶頂で自殺した愛する弟は何に悩んでいたのか。
止められなかった自らの後悔を胸に世界を旅する貴斗。「生きること」と「死を受けとめること」の意味を問う、感動のロードノベル。