羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ボトルネック 文庫

ボトルネック(新潮文庫)

 

久しぶりに読み返しも、十分味わえる作品でした。

青春、ミステリー、SFを融合した作品。

パラレルワールドに行ったら大体ハッピーな終わりになるものだと思ってしまうが、今作は違う。嫌なまでに自分の至らなさを実感させられて、暗い方へ背中を押されていく。

 

主人公・リョウ自分が生まれなかった世界線に行き、自分の代わりに家族に入っている姉が自分より上手く生きて、周りを回しているのを見せられたら生きていく気力が失われていくよね…

読み終わったら胸が痛くなること間違いなし。

 

独特の雰囲気で不気味な空気感がよりリョウの悲しさを表していて、リョウにお前はこれが足りなかったのだと突きつけていました。

 

自分の存在価値をこれでもかと知らされる残酷な話。最後の解釈は色々あるけど、自分はバッドエンドに1票。

 

 

 

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。