羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―(新潮文庫nex)

 

町田その子先生の作品は登場人物の悩みに違う角度からアプローチをしていくのが良いですね。

 

コンビニを舞台にした心温まる物語の数々。

1話1話、心に沁みるものがありました。

少年、青年、大人、立場が違っても悩めるというのは同じで、劇的な事が起こらずとも人と人の繋がりが起こす変化がとても良い。

最初は下を向いたり、周りを気にして生きていた人達が次第に気持ちが上向いていく心中の変化が魅力的でした。

コンビニってなんでも売っているからこそ、様々な目的で利用している人達がいる。

コーヒーやスイーツがもたらす効果は計り知れないです。

 

 

色気を撒き散らしている店長の存在は異物みたいな感じがしました笑 どの話も終わる頃には前を向いて生きていける力を貰えました。

 

悩んでる時は視野が狭くなってしまうものだけど、今作は店長と兄が気づきを与えてくれるので、皆が生きていくうえで広い視野を取り戻していくのはグッときました。

 

九州だけに展開するコンビニチェーン「テンダネス」。その名物店「門司港こがね村店」で働くパート店員の日々の楽しみは、勤勉なのに老若男女を意図せず籠絡してしまう魔性のフェロモン店長・志波三彦を観察すること。なぜなら今日もまた、彼の元には超個性的な常連客(兄含む)たちと、悩みを抱えた人がやってくるのだから…。コンビニを舞台に繰り広げられる心温まるお仕事小説。6編の連作短編集。