今回も面白かった。
文豪要素は薄めでヒットを飛ばした作家とそうでない作家の扱いの違いや作家によって変わる担当編集者の態度だったりを描いていて、読んでいて胸が痛むがこれが現実なのかと。
そこで李奈は凹んだりしながらも小説を書けば良いという方向へシフト出来るのが強みだよな。
新刊で似たようなジャンルが多く出るのは利益を生むからかもしれないが、作家の個性を殺してしまわないように祈るばかりである。
ミステリーとして、クローズドサークルという副題通り、孤島に招待されて起こる事件は読者を誘導するような展開で、まんまと騙されました。
様々な推理はしたが、予想してなかった角度から攻められました。
櫻木沙友理という人気作家が鍵を握っているが、彼女の姿が見えた時はもう作者の狙い通り。現れない櫻木沙友理という存在が上手く機能していて、見事に作者の手のひらのうえで転がされました。
様々な試験を得て、李奈の逞しさを感じられたのは良かったです。
作家モノ、ミステリー、李奈の葛藤、存分に楽しめました。
次巻の刊行が既に決まっていたりと、刊行スケジュールが短いスパンでありながら面白さが落ちないのは見事としか。
無人島に9人の小説家――
彗星のごとく出現した作家、櫻木沙友理。刊行された小説2作は、いずれも100万部を突破、日本じゅうがブームに沸いた。彼女を発掘した出版社が新人作家の募集を始めることを知ったラノベ作家の杉浦李奈は、親しい同業者の那覇優佳とともに選考に参加。晴れて合格となった2人は、祝賀会を兼ねた説明会のために瀬戸内海にある離島に招かれるが……。そこはかの有名な海外推理小説の舞台のような、“絶海の孤島”だった。