短編集なのにこの厚みと熱さは凄い。
千歳、夕湖、など以外の本編で語られなかったヒロイン達の胸中を追っていた。
悠月、優空、明日風、陽、それぞれの気持ちは千歳に向いているが、何をしたら良いのか分からず、苦悩している描写が上手い。
立場や距離感がありつつ、自分のやることを見つけていく為に必要な時間でした。
千歳チームに起きた夕湖の告白の余波を描かれていて、青春って高校生の特権だなと眩しくなりました。未熟で荒削りな年頃だからこそ、どう成長していくのか分からないのが良いですね。
本編の前にこうしてヒロイン達の裏側を見れるのは貴重ですね。
個人的に明日風の年上として、先を行きたいのにままならない葛藤が印象的でした。
次巻からの本編で千歳チームはどんな関係の変化していくのか楽しみです。
千歳もどうなるのか期待。
ばいばい、恋した一度きりの夏。
「ばいばいみんな、また二学期にな」
それぞれの思いが花火のように夜空を染めた夏。
少女たちは、再び手を伸ばす。心の奥に沈む、大切な月を掬えるようにと。
熱く駆けぬけた季節を終わらせ、もう一度歩き出せるようにと。
終わりはきっと、なにかの始まりだから。短夜を彩る珠玉の「長篇」集。
――だから、ばいばい、人生で一度きりの夏。