羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

やがて海へと届く 文庫

やがて海へと届く (講談社文庫)

 

映画観てから原作へ。

原作を読んだら映画化にあたり改変されたんだなと確認出来たが、悪いことではなく、むしろ適した形だったと思えました。

 

親友・すみれが震災で行方不明になる。心にぽっかりと穴が空いてしまう真奈。

周りは親友の死を受け入れていくなか、真奈の受け止められない心の動きを描いている。

実際、喪失体験と向き合っていくのは人それぞれで、真奈や周りの人達の気持ちも間違いはないんだよね。

悲しみとの距離感は人が壊れないのが1番だと思う。

真奈は親友だったからこそ、悔いて、もがいていく。その感情を追っていくのが止められない。

 

真奈が悲しみに包まれつつも受け入れていく変化は人間らしさを感じて良かったです。

人は忘れていく生き物だけど、残るものもある。


 

すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。