羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

星やどりの声 文庫

星やどりの声 (角川文庫)

 

良い家族小説でした。

読み終えて、心が前向きになれます。

父親を亡くした家族の人生の分岐点を視点を変えて描いていくことで、全員の心にあったシコリを見つけられて、かつ解消されていく過程が見れるので、なんと素晴らしいことか。心理描写に長けているからこそ、思春期の人や思春期を抜け出した人、多くの人に届く内容になっていたのかなと。

読み進めていくうちにこの家族の暖かさに解されていきます。

また、作中に仕掛けられた仕掛けは明かされるまで気づきませんでした笑

まさかでした。

 

家族一緒に居続けられなかった父の無念が微かにあるが、それ以上に妻や子供達に託した希望が印象的でした。

家の名前や形もなるほどなとなる作りをしていました。

 

東京ではない海の見える町で、喫茶店「星やどり」を営む早坂家。三男三女母ひとり。亡き父が残した名物のビーフシチューの香りに包まれた生活には、慎ましやかながらも確かな幸せがあった。しかし、常連客のおじいちゃんが店に姿を見せなくなった頃から、家族に少しずつ変化が。各々が葛藤を抱え息苦しくなる早坂家に、父が仕掛けた奇跡が降りそそぐとき、一家は家族を卒業する。著者が学生最後の夏に描いた、感動の物語。